研究課題
ヒト子宮頸部腺癌細胞(HeLa細胞)に対して炭素イオン線照射を70 KeV/μl、30 KeV/μl、15 KeV/μlと異なるLETで照射を行った。照射2時間前にシスプラチン(1.5μg/ml)を暴露させた細胞と曝露させなかった細胞に対して、各LETの炭素イオン線照射を行い、colony assay法を用いて、生存曲線を作成する。LETごとに生存曲線は異なることが予測されるが、それぞれのLETにおけるシスプラチンの併用の有無による生存曲線の差異を解析し、シスプラチン併用による各LET炭素イオン線に対する増感効果を解析した。シスプラチン曝露群(併用群)及び、非曝露群(単独群)のコントロール(0Gy時)の生存率を1とすると各LETの2Gy照射時の生存率がそれぞれ、15 KeV/μl単独群:0.57±0.067、15 KeV/μl併用群:0.32±0.064、30KeV/μl単独群:0.24±0.032、30 KeV/μl併用群:0.22±0.068、70 KeV/μl単独群:0.092±0.036、70 KeV/μl併用群:0.081±0.014であった。15KeV/μlでは有意に併用群で生存率が低かったのに対して、30 KeV/μl、70 KeV/μlでは併用群・単独群で有意差を認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
現在シスプラチン併用による重粒子線治療の増感効果の解析が進んでおり、当初予想されていた低LETでの化学療法併用重粒子線治療の増感効果および高LETでの増感効果の欠如が示されている。
今後は異なる化学療法薬剤における重粒子線治療併用での増感効果の検討を行う予定としている。さらに本研究での増感の機序を確認する目的でシスプラチン併用重粒子線治療時における細胞周期の変化などの確認を行う準備をしている。また今回使用した子宮頸部腺癌細胞株(HeLa細胞)以外の細胞株での増感効果の有無に関しても実験を行う予定としている。
投稿中の論文があり、その掲載料のために必要であったため。
論文の雑誌掲載料等
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Journal of radiation research
巻: 56 ページ: 523-528
10.1093/jrr/rru117