研究課題/領域番号 |
26861026
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
若月 優 自治医科大学, 医学部, 教授 (40399449)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 炭素イオン線 / 化学放射線治療 / 増感作用 / LET |
研究実績の概要 |
本研究は高LET、低LET炭素イオン線照射と化学療法同時併用時の腫瘍細胞および正常細胞における像観光課の有無を明らかにすることが目的である。計画している具体的な研究項目として、腫瘍細胞および正常細胞に対する高LETと低LET炭素イオン線照射時のシスプラチン併用の有無による生存率の差の解析である。 ヒト子宮頸癌細胞 (HeLa細胞)に対して、放射線医学総合研究所において炭素イオン線照射を13 KeV/μl、30 KeV/μl、70 KeV/μlと異なるLETで照射を行う。照射1時間前にシスプラチン (5 μM) を暴露させた細胞と曝露させなかった細胞に対して、各LETの炭素イオン線照射を行い、colony assay法を用いて、生存割合を比較した。 2Gyの炭素イオン線を照射した細胞で、シスプラチン併用による増感比率はそれぞれ13 KeV/μl: 1.78 ± 0.34 (p < 0.01)、30 KeV/μl: 1.24 ± 0.17 (p < 0.05)、70 KeV/μl: 1.19 ± 0.17 (p = 0.1) (統計学的解析はnon-paird t testを使用)であり、13 KeV/μl、30 KeV/μlではシスプラチン併用による有意な増感効果を認めたが、70 KeV/μlでは有意な増感効果が認められなかった。 現在ヒト線維芽細胞 (AG0157)でも同様の実験を施行しており、同様の傾向が認められている。 これらの結果から低LETの炭素イオン線照射とシスプラチンの同時併用は増感効果の存在が示唆されたが、高LETの炭素イオン線照射とシスプラチンの同時併用は増感効果が存在しない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにヒト子宮頸癌細胞(HeLa細胞)を用いて、炭素イオン線とシスプラチン併用における増感作用が高LETの炭素イオン線と低LETの炭素イオン線で異なる可能性が示唆される結果が得られている。現在、同様の実験を正常細胞であるヒト線維芽細胞 (AG0157)で行っており、同様の傾向が示されている。今後はさらなる実験の追加と解析、論文作成が必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、正常細胞で同様の実験を正常細胞であるヒト線維芽細胞 (AG0157)で同様の研究を行っており、今後は異なる細胞株や異なる化学療法薬剤を用いて同様の研究を進めていく方針である。またこの増感のメカニズムの解明のための実験準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費に関する論文を投稿中、執筆中であり、その論文の投稿費用、英文校正費用、掲載費用などが必要なため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文の投稿費用、英文校正費用、掲載費用として使用予定である。
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