研究課題/領域番号 |
26861032
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
富山 健一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 研究員 (20584064)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線障害 / 細胞死 / BDNF / MSC |
研究実績の概要 |
平成26年度では間葉系幹細胞(MSC)が分泌するBDNFおよびTrkB受容体アゴニストによる放射線障害に対する細胞保護効果を検討した。放射線で障害されたラット小腸上皮細胞IEC-6にMSCの培養上清を処理、またはMSCと共培養、リコンビナントBDNFまたはTrkBアゴニストの添加を行った結果、放射線によるIEC-6の細胞死は抑制された。細胞死抑制効果に対するMSC由来BDNFの関与は、分子生物学的手法や生化学的手法を用いて明らかに出来た。BDNFは生合成の過程でいくつかのフォームに分解されるが、今後は、それぞれのフォームの違いによる放射線障害に対する細胞保護効果の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、BDNFが放射線障害に対して一定の効果を持つことおよびその作用機序を明らかにし現在論文投稿中であるが、その準備のため平成26年度と27年度で行う実験内容を一部入れ替えた。また、被ばく下における内在性BDNF動態の解析が十分行えておらず、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度では放射線被ばく下におけるマウス内在性BDNFの動態解析とリコンビナントBDNF投与を行ってin vitroにみられる細胞保護効果をin vivoモデルで確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度では、被ばく動物におけるBDNFの効果を検証するためにトランスジェニックマウスの導入を検討していたが至らなかったため、その分の経費をH27年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度繰り越し分を含む研究費は、BDNFのプロセッシングを行うタンパク質のノックアウトマウスを導入する予定である。また、培養細胞でBDNF発現細胞株およびノックアウト株を新たにゲノム編集技術で作成予定であり、必要な試薬を購入する。
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