研究課題
平成27年度に引き続き最終年度である平成28年度においても、当初の研究計画通り、当施設通院中の肝移植患者より採取・保存した血清検体を用いて、Luminex法にて抗HLA抗体測定を継続した。また、これまで蓄積してきた抗HLA抗体の測定結果と診療情報との関連を解析することにより、ドナー特異的抗HLA抗体出現に影響するリスク因子を明らかにし、昨年度に引き続き、国内外の学会・研究会での発表や英文誌への論文投稿により情報発信を行った。研究目的の1つであった抗HLA抗体の経時的変化の解析については、患者の受診頻度の問題やモニタリング対象の決定のための解析に時間を要したことにより、現時点では解析に足る十分なデータは集まっていない。しかし、広くスクリーニングを行い、リスク因子の解析が十分行われたことにより、今後経時的変化の解析を速やかに開始できる準備が整ったと考えている。さらに、慢性拒絶反応の診断に関しては、肝移植においては病理組織学的な診断がいまだ困難な状況であるが、諸報告により肝線維化が慢性拒絶の有力なマーカーとなると期待されており、当施設でも抗HLA抗体が陽性かつ高度の肝線維化を認める患者を認めてきていることから、抗HLA抗体と肝線維化の関連を詳細に解析していくことで、重要な知見が得られるものと期待される。研究期間全体では、当初の目的であった臓器移植後抗HLA抗体の意義の解明に寄与する知見が得られたと考えられ、国内外の多くの学会・研究会で情報発信を行いつつ、論文投稿も2編アクセプトされ、現在さらに1編投稿予定中となっている。さらに、小児肝移植患者に対し広くスクリーニングを行うことができ、今後詳細な解析を継続することで、さらに多くの知見が得られるものと考えている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
ANNALS OF TRANSPLANTATION
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Transplant Proc.
巻: 48(4) ページ: 1139-41
10.1016