研究課題/領域番号 |
26861038
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井口 研子(間中研子) 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50575644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 可溶型CD155 |
研究実績の概要 |
・癌細胞株のCD155発現解析:ヒト大腸癌、子宮頸癌、白血病、肉腫などの癌細胞株を用い、PCRにて可溶型CD155の発現を解析したところ、全ての癌細胞株において膜型と可溶型CD155の発現を認めた。これまでの知見から癌細胞では膜型CD155が高発現することが示されており、本結果から癌細胞では可溶型CD155も高産生されることが推察された。 ・新鮮癌組織のCD155発現解析:大腸癌、胃癌、乳癌計16例の新鮮癌組織と隣接する正常組織を用い、定量PCRにて膜型・可溶型CD155の発現量を解析したところ、正常組織と比較し癌組織では膜型・可溶型CD155の発現が優位に上昇していた。本結果より癌患者血清中に認める可溶型CD155の産生源は癌組織であることが推察された。 ・癌患者血清中の可溶型CD155濃度と癌の進行度との相関:健常人約60例と胃癌患者約50例の血清を用い、sandwich ELISA systemにて可溶型CD155濃度を解析したところ、胃癌病期と可溶型CD155濃度の有意な相関を認めた。本結果は前述の推察を裏付けており、癌の進行に伴い癌組織から産生される可溶型CD155の絶対量が増加すると考えられた。可溶型CD155は腫瘍マーカーとして有用である可能性が示唆された。 ・抗可溶型CD155特異的抗体の作製:可溶型CD155は膜貫通領域を欠失するスプライシングバリアントであり、C末端側に細胞内領域を持っている。膜型CD155は認識しない抗可溶型CD155特異的抗体を作製するため、現在CD155細胞内領域を抗原とした抗体を作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌におけるCD155の発現解析に関しては、順調に進展している。一方で抗可溶型CD155特異的抗体の作製に関しては難渋しているため現在進行中であり、年度内に完了しなかった。よって総合的におおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
癌におけるCD155の発現解析に関し、CD155のバイオマーカーとしての有用性を示すためには、種々の予後因子との相関を解析するためさらに症例数を増やす必要がある、また長期的な予後評価をする必要があると考えている。 また抗可溶型CD155特異的抗体の作製に関しては引き続き計画を進め、マウスモデルを用いた治療効果解析を行う予定である。
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