研究課題/領域番号 |
26861042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩田 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00719247)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Circulating Tumor Cell / 食道癌 / 胃癌 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、Circulating Tumor Cell (以下CTC) を採取するための同種移植マウスモデルの確立を目指し、そのマウスモデルを用いて様々な分子生物学的な検索を行っていくことを目指している。具体的には、原発巣・転移巣・CTCの遺伝子発現の違いなどを検索することを目標としている。 ① マウスモデルの確立には難航している。これまでにヌードマウスを用いたモデル作りを試みていたが、腫瘍の生着がほとんど認められずnod scid mouseを用いた実験も少しずつではあるが開始した。申請者はドイツ・ハイデルベルク大学でCTCが採取できる同種移植マウスモデルの作成にかかわったが、その際にも非常に難航していた経過を目の当たりにした。その際の経験、トラブルシューティングを踏まえても非常に難しい状態である。マウスの購入・維持に費用がかかること、また手技も煩雑であることも難航している要因の一つとなっている。 ② 昨年度の報告でEMTという観点から癌幹細胞との関連が示唆されている遺伝子についての検討について言及したが、マウスにかかわる実験費用の増加を懸念され、着手に至っていない。しかしながら、今後マウスモデルの進捗状況によっては、EMT、癌幹細胞についての分子生物学的な検討、具体的には細胞株・臨床検体を用いたqPCR、Western blottingといった各種分析を行い、成果を上げていくことも検討する必要があろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
CTC採取同種移植マウスモデルの確立をめざし、胃癌細胞株を用いて、まずは胃癌の肝転移モデルを作成することを目指している。ヒト胃癌細胞株をマウスの胃壁に注射、腫瘍の生着・肝転移の発生について観察していったが生着することがなかった。腫瘍細胞を脾臓に注射することでも肝転移作成を試みたが、肝転移を認める確率は不確かでマウスモデルの確立にいたらなかったNod scid mouseを用いて、また腫瘍細胞を門脈内注射することで肝転移を認めるマウスの確率が高まった。しかし、一方でマウスの死亡も多く、手技の安定に時間を要する見込みである。マウスが高価であるため、規模の拡大の前に手技の安定を図ることが優先されるべきだと考えている。 現時点で肝転移は確認されたが、CTCの有無に関しては評価していない。今後は現時点で得られえるマウス血液内にCTCが存在するかを確認していくことを検討している、その先にはCTCからのDNA採取を目標とするのだが、ごく少数の細胞からDNAを抽出するためには高額なキットが必要となり、現時点ではまだ着手の見込みはない。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルの作成にあたり、Nod scid mouseを使用することが一つの対策であるが、マウスそのものが高額であること、まだ手技が不安定であることから、少数のマウスで試行錯誤を繰り返している状態である。今後手技の安定が確認できた後に一定数のマウスで研究を進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスモデルの確立に時間を要し、本年度予定していた研究段階にまで至らなかったため、来年度未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度に行う動物実験において、マウスの購入・維持にかかる支出が増加することが想定されており、その際に使用する計画である。
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