過剰な鉄は発癌原因のひとつであり、申請者は腫瘍を除鉄すると腫瘍増殖が抑制され、代償的な血管新生が誘導される事を発見し、除鉄と血管新生阻害薬を併用する新規治療法を考案した。肝臓癌細胞株(HepG2, HLE)に対して血管新生阻害作用のあるソラフェニブに鉄キレート剤(デフェラシロックス)を併用すると増殖抑制効果の上乗せが認められた。ソラフェニブ投与患者(n=58)の後視的解析では、TIBC高値群とフェリチン低値群の体内鉄が低いと考えられる群で全生存期間が有意に延長されていた。以上より、臨床研究でもソラフェニブに鉄キレート剤を併用すると体内鉄を下げ抗腫瘍効果を増強できる可能性が高いと考えられた。
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