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2014 年度 実施状況報告書

デリバリーキャリアを用いた細胞治療効果の増強-血管新生と神経再生を指標として-

研究課題

研究課題/領域番号 26861052
研究機関獨協医科大学

研究代表者

岸本 聡子  獨協医科大学, 医学部, 助教 (10511488)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード細胞キャリア / 脂肪由来間質細胞 / サイトカイン / 腹圧性尿失禁
研究実績の概要

1.下肢虚血モデルにおける血管新生効果メカニズムの解析
マウス重症化下肢虚血モデルを作成した。移植当日、虚血部位の複数箇所に、同系マウスの鼠蹊部脂肪より分離した脂肪由来間質細胞(ASCs)を単独、或いはフラグミン/プロタミン混合粒子(F/P NPs)との凝集体(ASCs/F/P NPs)として注入した。血流回復効果はレーザードップラー血流計にて経時的に測定し、最終的に虚血組織部位の免疫組織学的検査を実施した。その結果、ASCs/F/P NPs凝集体の方がASCs単独よりも下肢血流回復が有意に促進された。また、病理組織学的にもCD31陽性の新生血管が有意に増加した。以上より、ASCsを移植する際にF/P NPsを併用することで重症化下肢虚血性疾患の治療効果が増強されることが明らかとなった。本研究の成果を論文として投稿中である。

2.腹圧性尿失禁モデルを用いた治療効果の評価
ラット陰部神経切断モデル(PNT)及び膣過伸展モデル(VD)の作成法、尿漏出時圧(LPP)測定法を確立した。PNTでは、対照群と比較して切断直後及び4週後にLPPの低下がみられなかった。その原因として、平滑筋をブロックするHexamethoniumの投与後にLPPの低下を確認した(平滑筋の代償作用)。一方、VDでは、対照群と比較してモデル作成直後、4及び7日後にLPPの低下が認められた。従って、ASCs移植実験にはVDモデルを採用した。モデル作成翌日、自家鼠蹊部脂肪より分離したASCsを外尿道口の周囲5ヶ所に注入した。細胞投与後7日目に、脊髄をTh8~9レベルで切断した状態でLPPを測定した。その結果、VD群では対照群と比較してLPPの有意な低下がみられた。このことより、VDモデルの妥当性が確認された。また、VD+ASCs群及びVD+ASCs+F/P NPs群では、VD群と比較してLPPの有意な上昇がみられた。以上より、VDモデルを用いたASCsの排尿機能改善効果に対する有用性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

下肢虚血モデルにおける血管新生効果のメカニズム解析では、H26年度目標である論文作成を達成し、更に腹圧性尿失禁モデルを用いた治療効果の予備的検討に着手しているため。

今後の研究の推進方策

下肢虚血モデルにおける血管新生効果のメカニズム解析では、F/P NPsに組み合わせ可能なサイトカインカクテルを作成して評価する。また、腹圧性尿失禁モデルを用いた治療効果の評価では、細胞移植4及び8週後にLPPを測定し、病理組織学的評価を実施する。

次年度使用額が生じた理由

論文投稿が遅れ、投稿料及び掲載料として支出予定していた金額を使用しなかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度に論文投稿料及び掲載料として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Nanoparticles of Heparin and Protamine Complex Augment the Potential for Adipose-derived Stromal Cells to Ameliorate Limb Ischemia2015

    • 著者名/発表者名
      岸本聡子、井上健一、佐久間理吏、豊田茂、田口功、井上晃男
    • 学会等名
      第79回日本循環器学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2015-04-24 – 2015-04-26
  • [学会発表] ラットにおける陰部神経切断モデルと膣過伸展モデルの腹圧下尿漏出時圧における比較検討2014

    • 著者名/発表者名
      山西友典、加賀勘家、内山智之、柴田千晴、岸本聡子、井上健一
    • 学会等名
      第7回排尿障害モデル動物研究会
    • 発表場所
      グランディエールブケトーカイ(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2014-12-05 – 2014-12-05

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公開日: 2016-06-01  

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