研究課題
乳房温存術において「術前・術中に腫瘍の局在と広がりを直視下に確認しながら」手術を施行できれば、外科医は深い自信と安心感を持って、必要最低限にして十分な範囲の乳腺切除を行うことができ、患者は乳房の整容性を保ち、かつ根治度の高い手術を受けることが可能となる。テクノロジーの進歩は医学を常に前進させてきたが、我々は最新の「拡張現実技術」を外科手術に応用することで、簡便で実用性が高い乳房温存術におけるナビゲーションサージャリーシステムを開発することを目的とした。本研究では、乳癌患者より患者体表面形状データおよび仰臥位MRI画像データを取得して、患者体表面のファントム(模型)を3Dプリンタを用いて作成した。MRI撮影時および3Dスキャナー使用時に、MRIにて認識可能な市販のオイルパッチを貼付し、ファントムの位置情報と仰臥位MRI画像を同期させルことが可能であった。また、複数の患者の同意を得て症例数を増加させ、本システムが患者によらず、常に正確に動作可能であることを確認した。さらに、患者体表と、タブレット上のMRI画像の位置関係をさらに感覚的に把握しやすくするため、被検者の体表を指し示すと、タブレット上でその位置を正確に表示する「マーキングペン」を実装することが可能であった。今後は手術室環境への本システムの実装が可能か否かを検討しながらシステムのスリム化や効率化を実現し、近い将来の実臨床への適用を目指していく。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The International Journal of Virtual Reality
巻: 15(01) ページ: 10-17