エクソソーム由来分泌型ncRNAは様々な癌のバイオマーカーとして注目を集めている。我々はこれまで培ってきた解析技術を用いて、血清エクソソーム中にアンチセンスRNAが存在するか非かに注目した。予備的実験で、健常人の末梢血清に存在するエクソソームを単離し、アンチセンスRNAが存在することを確認した。予備実験の結果を踏まえて、本研究の目的は、非B非C肝癌患者における血清エクソソーム中のアンチセンスRNAおよびmiRNAの発現異常の解析と新しい治療法への応用を検討することである。現在までに本研究の同意を得た非B非C肝癌患者約30名から末梢血を採取して血清の分離を行っている。血清からのエクソソーム回収は超遠心法およびExoMir Plus Kit (Bioo Scientific社)を使用して行っている。対照群として肝癌患者と同年代の健常人からも同意を得た上で血清を採取している。症例が目標の30例に達したため、今後センス/アンチセンスRNAのカスタムマイクロアレイを用いたアンチセンスRNA発現の網羅的解析を行い、個別アンチセンスRNAのリアルタイムPCRおよびISHを用いた発現解析を経て、最終的には低コストで迅速診断が可能な新しい癌診断カスタムマイクロアレイの開発を行う。本研究の目的が達成することで、血液検査という簡便な検査により過去10年間で倍増している非B非C肝癌の早期発見が可能になり、世界的な健康増進に大きく寄与すると考えている。
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