研究実績の概要 |
平成26年度は遺伝学的背景に基づく大腸癌肝転移の化学療法の効果予測の検討の第1段階として、網羅的遺伝子解析の対象となる術前化学療法へのgood responderおよびpoor responderを選別し、臨床データのまとめおよび凍結検体からの腫瘍DNA抽出を行った。ゲノム研究倫理申請および遺伝子検査のための試薬調整に予想以上に時間がかかり、初年度の進捗状況としては予定よりもやや遅れている状況にはあるが、腫瘍DNA抽出はおおむね完了に近づいており、遺伝子解析自体はは1-2か月以内に完了できる見込みである。
平成27年度は、ターゲット遺伝子が確定した上で今後は臨床像との相関を見ていくことになる。対象となる症例のリストアップはすでに完了しており、各症例の化学療法に対する病理学的、放射線学的レスポンスの評価も放射線科医、病理医の協力のもとに平成26年度中にすでに完了した。この結果はすべてデータベースとして確立しており、遺伝子解析の結果をもとにすぐに臨床像との相関を評価できる体制にある。またデータベース作成の過程において、化学療法に対する大腸癌肝転移の「形態学的反応」(Chun YS, JAMA 2009, Shindoh J, J Clin Oncol 2012)の予後因子としての重要性を証明するため、東京大学および虎の門病院の大腸癌肝転移切除例を用いてretrospectiveにvalidation studyを行い、過去の報告とほぼ同等の結果が確認できる旨を英文誌に報告した(Nishioka Y, Shindoh J, et al. J Gastrointest Surg 2015 in press)。
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