研究実績の概要 |
平成27年度は昨年度完了した術前化学療法へのgood responderおよびpoor responder 5症例ずつの腫瘍DNAに関して、網羅的遺伝子変異解析を行った。結果、化学療法への感受性にかかわる可能性のある遺伝子変異候補を2遺伝子まで絞り込んだ。現在組織の免疫染色並びに、症例数を増やした同遺伝子変異の確認作業を進めている。研究全体としては予定よりも遅れているが、遺伝子変化と臨床像の対比を検討する対象となる症例のリストアップは完了しており、各症例の化学療法に対する病理学的、放射線学的レスポンスの評価も放射線科医、病理医の協力のもとに昨年度までにすでに完了している。データベース作成の過程において、化学療法に対する大腸癌肝転移の「形態学的反応」(Chun YS, JAMA 2009, Shindoh J, J Clin Oncol 2012)の予後因子としての重要性をvalidationする報告をpublishした(Nishioka Y, Shindoh J, et al. J Gstrointest Surg 2015)。また、従来化学療法への感受性や臨床像と強い相関があることが示唆されているKRAS遺伝子変異の意義を、東京大学、虎の門病院の症例をもとに検討し、英文誌に報告した(Shindoh J, et al, Ann Surg Oncol 2015)。 平成28年度は絞り込まれた遺伝子変異と化学療法へのレスポンスの実際の相関を明らかにし、研究成果としてまとめる。
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