研究実績の概要 |
胃癌細胞株MKN45, MKN74およびPAR1強制発現のMKN45/PAR1細胞株にてPAR1 agonistを用いて, side population細胞への移行を, FACSを用いて検討を行った. MKN45/PAR1とMKN74細胞ではside populationへの移行が10-16%で認められたが,PAR1発現の低いMKN45細胞ではside populationへの移行が1-2%であった. また,PAR1-siRNAやPAR1 antagonistを用いたPAR1活性抑制状態では, side populationへの移行は1-2%であった. Side populationへの移行が認められたPAR1活性化状態のMKN45/PAR1およびMKN74細胞のcisplatin, 5-FU, paclitaxelの薬剤抵抗性試験を施行. PAR1活性化状態はPAR1活性抑制状態やPAR1発現の低いMKN45細胞と比較して, 薬剤抵抗性を有意に獲得しており, ABC輸送体であるABCG2とP-gpの発現が有意に増加していた. ヌードマウスの腹腔内投与による腫瘍形成能の比較試験においては, PAR1活性化状態のMKN45/PAR1およびMKN74細胞は, PAR1活性抑制状態やPAR1発現の低いMKN45細胞と比較して, 有意に腫瘍形成が増加しており, 腹水中にも多数の腫瘍細胞がいることも確認された. また, 腹腔内の腫瘍塊を薄切し, ABC輸送体の免疫染色を行っても、発現の亢進が確認された.
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