研究課題
本研究は、癌における抗がん剤や放射線治療抵抗における癌関連線維芽細胞(CAF)の関与が示唆されていることから、CAFの癌幹細胞やEMTとの関連性を解明し、さらに光線免疫療法を用いてCAF自体を標的に死滅させ今まで困難であった治療抵抗性癌における根治的な新規治療法を開発する事を目的とする。初年度である平成26年度はCAFと癌細胞の癌幹細胞化やEMT への影響を解析し、実際のCAFの治療抵抗性への影響を検討した。in vitroにてmigrationやinvasion assayなど行い、何れもCAF刺激により癌細胞の悪性化を認めた。またビメンチンの高発現やE-cadの減少などEMTとの関与も示唆された。さらにCD133の増強を認めCAF刺激による癌幹細胞化も示唆された。最も重要である治療抵抗性もCAFによる刺激により5FUやDocetaxel、RTへの感受性低下など治療抵抗性を示した。in vivoでは同様にCAFによる移植腫瘍の5FU治療抵抗性獲得を確認した。続いてPITを用いたCAFを標的とした治療を行った。まずin vitroにてFAP発現するCAF特異的に近赤外光にて殺傷可能であることを実証しin vivoの実験においても5FUに治療抵抗性を示していた腫瘍にPITを用いてCAFを制御すると治療効果を得ることが確認された。以上より奏功率の低い従来の抗癌剤に加えて癌微小環境の中心的な役割を担うCAF細胞を標的とすることで奏功率の向上や患者の生存率の向上につながり得ると考えられた。平成27年度には、その検証と各学会、研究会等にて報告を行った。平成27年第35回癌免疫外科研究会では研究奨励賞を受賞した。
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癌と化学療法
巻: 42 ページ: 1228-30