研究課題
オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つである。細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行う。また、オートファジーが積極的に細胞死を引き起こすという報告もある。オートファジーと膵癌の関連性については、まだ十分に解明されていない。我々はこれまでの研究で、オートファジーを抑制することが、新しい膵癌治療法となる可能性を示してきた。この研究を発展させ、我々はまず膵癌患者における、オートファジーの誘導と予後をprospectiveに解析することとした。2013年4月から2015年12月まで52例の通常型膵癌に対して切除手術を行った。この症例の切除検体(癌部および通常膵実質部)を用いて、オートファゴゾームのマーカーであるLC3に対するウェスタンブロッティングを行っている。通常膵実質部に比べて癌部でLC3の発現が亢進している傾向があり、臨床病理学的特徴とともに解析し進行度、予後との関連を解析している。また膵癌細胞株PANC-1、およびBxPC-3を用いて実験を行った。通常培養条件下でLC3の発現が見られ、つまりオートファジーが発現していた。オートファジー阻害薬により細胞増殖は抑制され、抗癌剤5-FUまたはゲムシタビンと併用した場合さらに強く細胞増殖が抑制された。つまり、オートファジーが細胞保護的に働いていることが示された。この結果は、Eur J Cancerに論文発表を行った。今後は切除症例、非切除症例のオートファジーの誘導の程度と予後との関連をprospectiveに解析していく予定である。また、オートファジーが膵癌内で過剰に誘導される仕組みと、癌細胞内における具体的な機能の詳細を明らかにしていく。さらに臨床応用を前提として、より安全にオートファジーを抑制する手法を開発する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件)
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