研究課題/領域番号 |
26861096
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
清水 敦史 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00637910)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 膵管内乳頭粘液性腫瘍 / MUC16 / mesothelin |
研究実績の概要 |
近年症例数が増加している膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)由来浸潤癌に対する新規治療標的分子として、われわれが膵癌でその有用性を報告してきたMUC16とmesothelinに着目し研究を行ってきた。当該年度は、1999年7月から2013年5月に和歌山県立医大第2外科で切除したIPMN症例223例(invasive IPMC 68例、high-grade dysplasia 74例、low-, intermediate-grade dysplasia 81例)を対象にMUC16およびmesothelinの免疫染色を用いた蛋白解析を行ってきた。結果としては、pilot studyとしてIPMN由来浸潤癌10例、high-grade dysplasia 7例、low-grade dysplasia 7例での蛋白発現解析の結果と同様、invasive IPMCにはMUC16/mesothelinの発現を認めるものの、その前癌病変であるhigh-grade dysplasiaやlow-, intermediate-grade dysplasiaでは発現を認めていない。現在、臨床病理学的因子、生命予後との相関について解析中である。 同時に、IPMN由来浸潤癌細胞株IPMN-1TおよびIPMN-1Aspに対してshRNAを用いてリポフェクタミン法にてMUC16単独,mesothelin単独抑制IPMN由来浸潤癌細胞株を作成した。蛋白発現抑制効果について免疫染色、Wesetrn-Blotting法で確認を行い、現在、これらを用いてMUC16/mesothelin double knockdown細胞株を樹立しているところである。 今後、樹立したMUC16/mesothelin double knockdown細胞株を用いてin vitro、in vivoにおいて増殖能、浸潤能,遊走能解析を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画通り、本年度はIPMN症例223例(invasive IPMC 68例、high-grade dysplasia 74例、low-, intermediate-grade dysplasia 81例)を対象にMUC16およびmesothelinの免疫染色を用いた蛋白解析を行ってきた。また、同時にshRNAを用いたMUC16単独,mesothelin単独抑制IPMN由来浸潤癌細胞株の樹立を行い、現在MUC16/mesothelin double knockdown細胞株を樹立中である。これらの細胞株が樹立されれば、本研究の目的であるIPMN由来浸潤癌におけるMUC16/mesothelinの相互作用ならびに、2遺伝子により引き起こされる分子生物学的機構を詳細に検討することができると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点で、ほぼ当初予定していた研究計画通りに推進できていると考えられる。今後はin vitro、in vivo、さらには結果の解析作業等を並立して行う必要があるが、これらの手法はこれまでに経験してきているものばかりであり、十分に推進可能であると考えられる。また、これまで当教室で行ってきたペプチドワクチン療法を応用し、MUC16/mesothelinをtargetとしたIPMN由来浸潤癌新規治療へと発展させるべく、計画通りに研究を遂行していく所存である。
|