研究課題
SMYD3(SET and MYND domain-containing protein 3)は,ヒストンリシンメチルトランフェラーゼである.SMYD3 遺伝子は大腸癌でその発現が亢進しており,癌細胞の増殖や生存に重要な役割を果たしている.最近,SMYD3 遺伝子のイントロン部分が転写され,この転写産物がSMYD3 の発現を制御し,細胞増殖を調節していることが報告された.この結果は,イントロニックSMYD3 RNA によるSMYD3 の発現制御が腫瘍形成に重要な役割を果たしていることを示している.本研究は,イントロニックSMYD3 RNA の大腸癌の発生進展における役割およびそのメカニズムを明らかにすることを目的とした.遺伝子の機能を理解する上で,その発現様式は重要な知見となる.そこで,本年度はイントロニックSMYD3 RNA を組織切片上で検出するために,In situ hybridizationの条件検討を行った.その結果, 使用した組織切片でその発現を確認することが出来た.今後,市販の大腸癌組織がプロットしてあるTissue micro array を用いて,イントロニックSMYD3 RNA の大腸癌組織に発現を調べていく.
2: おおむね順調に進展している
イントロニックSMYD3 RNA は癌遺伝子を制御するEZH2に結合することが報告されている.本研究では,イントロニックSMYD3 RNA 中のEZH2結合配列をターゲットとしてプローブを設定した.このプローブを用いて,ハイブリバッファー,ハイブリ温度,ハイブリ後の洗浄などのIn situ hybridizationの条件検討を行った.そしてその条件を整えることができた.
SMYD3およびEZH2は大腸癌の発生・進展に重要な役割を果たしている.イントロニックSMYD3 RNA はEZH2に結合し,SMYD3の発現を制御しているが,大腸癌における役割は不明である.本年度は,.イントロニックSMYD3 RNA を組織切片から検出する実験法を確立した.今後.様々大腸癌組織がスライドガラス上に固定してあるTissue micro array を用いて,イントロニックSMYD3 RNA の大腸癌組織における発現を調べ,どのような大腸癌でその発現が上昇もしくは低下しているのかを調べ,その知見を下に大腸癌細胞株,およびマウス個体を用いた実験に移行し,本遺伝子の機能およびそのメカニズムを明らかにしていく.
本年度は,今まで,我々の研究室で行ったことのない,イントロニック RNA のin situ hybridizationを試み,その条件を整えることを目的として研究費を使用した.
今後.イントロニック RNA のin situ hybridizationを行うための Tissue micro arrayの購入,機能解析を行うために必要な大腸癌細胞株,およびマウス個体の購入および実験や維持に必要な試薬の購入に使用していく.
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nternational Journal of Surgery Case Reports
巻: 5 ページ: 979-983
10.1016/j.ijscr.2014.10.034
Endoscopy
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