研究課題/領域番号 |
26861104
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高橋 里奈 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (80639112)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メチルトランスフェラーゼ / non-coding RNA / エピジェネティクス / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
SMYD3は,ヒストンリシンメチルトランフェラーゼであり、大腸癌でその発現の亢進が見られ,癌細胞の増殖や生存に重要な役割を果たしてることが明らかにされている。近年、ヒストンタンパク質だけでなく、非ヒストンタンパク質をメチル化修飾し、本修飾が直接的に癌細胞の増殖や生存に関わることが明らかにされている。さらに、本遺伝子領域にはnon-coding RNA(SMYD3-IT1)が同定され、本遺伝子が癌化を制御していることが報告されているが、その詳細は明らかにされていない。本研究成果によって,大腸癌における新たな発癌機構が明らかになることが期待できる。本研究の目的はSMYD3-IT1の腫瘍細胞における役割を明らかにすることである。昨年は大腸癌組織アレイを用いて、in situ ハイブリダイゼーションを行い、大腸癌組織におけるSMYD3IT1の発現を調べた結果、転移を示している大腸癌組織でその発現が低下している傾向が見られた。そこで、本年度は、動物モデルを用いた転移に関わる表現型解析を行うために、蛍光タンパク質遺伝子を導入した大腸癌細胞株を作製することにした。まず、目的の蛍光タンパク質を発現するウイルスベクターを用いて、目的の大腸癌細胞株のゲノムに蛍光タンパク質遺伝子を導入した。次に、セルソーターを用いて目的の蛍光タンパク質を発現する細胞のみを選別して、さらに、強く発現する細胞のみを選別した。来年度は、本細胞株を用いて、ゲノム編集技術を利用して目的遺伝子を欠損させた細胞株を作製し、細胞増殖能、細胞死、浸潤、転移などの癌化に関わる表現型解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、蛍光タンパク質遺伝子の導入だけでなく、目的遺伝子を欠損した細胞株も作製予定であった。しかしながら、遺伝子導入法の確立に時間を要してしまった。来年度は、目的遺伝子を破壊し、表現型解析も行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、蛍光タンパク質導入した細胞株を樹立した。来年度は、ゲノム編集技術を用いて目的遺伝子を欠損させた細胞株を作製していく。さらに、樹立した細胞株を用いて、細胞増殖能、細胞死、浸潤、転移などの表現型を細胞レベルおよび個体レベルで調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大腸癌組織アレイを用いた発現解析結果によりSMYD3-IT1が大腸癌の転移に関わることが示唆された。この結果をもとに本年度は大腸癌細胞株を用いての表現型解析を行うために、大腸癌細胞株に蛍光タンパク質遺伝子を導入し、さらに、ゲノム編集技術を用いてSMYD3IT1の機能を欠損させた細胞株も作製予定であった。しかしながら、遺伝子導入法の確立に時間を要して、蛍光タンパク質遺伝子を導入した大腸癌細胞株の作製のみになってしまい、使用予定額との差額が生じていまった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、蛍光タンパク質導入した細胞株を樹立した。来年度は、目的遺伝子を欠損させるために行うゲノム編集を行うための試薬や表現型解析を行うための試薬、そして動物実験に本補助金を使用していく予定である。
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