我々は、血管を通過するICG輝度を測定するICG血管造影法による血流測定技術を利用した冠動脈バイパス術でのバイパスグラフト評価と大動脈手術での腸管血流評価を行ってきた。on-siteに可視化した血流を輝度変化率として解析することで、より客観的な血流評価法の開発を目指した。 冠動脈バイパス術でのバイパスグラフト評価法の開発では、ex-vivo冠動脈狭窄モデルにより、狭窄による血流輝度変化率を明らかにした。75%以上の有意狭窄を示す血管を通過する血流輝度は減高することが示された。臨床研究は、冠動脈バイパス術におけるバイパス血流輝度評価を行い、バイパス血流不全の検出する可能性について報告した。有意狭窄を呈する吻合部狭窄はバイパス血流輝度を減高する。また、輝度変化率と血流量の相関が確認された。冠動脈バイパス術におけるon-siteグラフト評価法としての有用性があると考えられる。 また、大動脈手術での腸管血流評価では、腹部大動脈瘤における人工血管置換術での腸管ICG血流輝度の測定から定量化法の可能性を検証した。腸管壁血流は循環動態の影響が大きく、壁厚と表面脂肪による輝度測定上の個体差が大きく有用性を示すことができなかった。腸管血流低下をラット腸管血流不全モデルより行った。腸間膜動脈及び腸骨動脈により腸管血流輝度の変化を測定した。腸管壁血流輝度測定により、腸管血流低下の検出は可能であった。個体差が大きく、各動脈閉塞による輝度低下率を明らかにすることはできなかった。腸管血流評価は個体毎、閉塞血管毎に順に腸管血流評価を行うことが有用と考えられた。
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