研究課題
平成26年度の研究は、生体において動脈硬化病態形成におけるAngptl2の機能解析を主に行った。アンジオテンシンII(AngII)投与による動脈硬化モデルについてApoE KO マウス(16-20週齢, ♂)、通常食にて浸透圧ポンプを利用してControl群とAngII 群(1.44mg/kg/day)で4週間投与し、大動脈よりmRNAを抽出しqRT-PCR により発現解析を行った。AngII群では、control群に比べ、大動脈において明らかなプラーク部の増加を認め、Mmp2、CD68のmRNA発現の明らかな上昇を認めたが、Angptl2の発現については有意な差を認めなかった。近年、Angptl2 は喫煙者の内胸動脈において発現が上昇することが知られており、タバコによるAngptl2 発現誘導の可能性が報告されている(Nada F., Can. J. Physiol. Pharmacol., 2008)。AngIIと同様に浸透圧ポンプを利用して Control群とNicotin 群( 1mg/kg/day )で6週間投与し、解析を行った。Nicotin群は、control群に比べ、大動脈において明らかなプラーク部の増加を認め、かつAngptl2、Mmp2、CD68、TNFa mRNAの明らかな発現上昇を認めた。Angptl2の血管における発現誘導の一つとしてNicotinが示唆された。また、ヒト冠動脈サンプルの免疫染色において、ANGPTL2はプラーク部の血管内皮細胞およびCD68陽性細胞で発現を認めた。
3: やや遅れている
マウスの交配により産仔数が予想よりも少なく、実験に必要な匹数が足りず、解析時期に遅れが生じている。今年度の初めには、それらの解析を行う予定である。それ以外については予定通りに進んでいる。
平成27年度については、平成26年度の結果に基づいて研究を進め、当初の計画通りである。主な研究としては、Angptl2 conditional KOマウスや血管内皮細胞特異的Angptl2強制発現マウスを用いて生体において動脈硬化病態形成におけるAngptl2の機能解析とin vitroによるAngpgl2の発現制御解析を行う。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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