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2014 年度 実施状況報告書

血管新生促進作用を持つ末梢動脈用生体吸収性ステントの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26861115
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

松原 健太郎  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70348671)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード生体吸収性ステント / 血管内治療 / 末梢動脈疾患
研究実績の概要

ミニブタ腸骨動脈への生体吸収性ステントの留置実験を行うにあたり、まずその手技の確立を図った。全身麻酔の麻酔深度、また手技中の出血により一例を手技中に失った。麻酔深度の微調整、またステントデバイスのブタ動脈への確実な留置手技の確立に工夫と時間を要した。さらに予備実験で行った留置実験において、ブタ動脈ではステント留置部の内膜肥厚所見がヒトより強く認められる傾向が示唆されたため、当初の実験計画を修正し、まず金属ステントをコントロールとして、生体吸収性ステントのブタ動脈における開存性や血管壁反応の違いを検討する方針とした。
ミニブタ5頭に対し、全身麻酔下に手技を行った。両側大腿動脈を露出して直視下にシースを留置した。透視用Cアームを用いて左腸骨動脈に金属ステントを、右腸骨動脈に生体吸収性ステントを留置した。全例でステント留置前後に血管撮影と血管内超音波検査を施行した。5例全例で手技的成功を得た。留置6週後に全身麻酔下に血管撮影と血管内超音波検査を行い、ステント留置部の画像評価を行った後、ステント留置部血管を採取しホルマリン固定した。血管撮影にて金属ステント、生体吸収性ステントともに全例で開存していた。血管内超音波検査画像から、ステント留置部の中膜外弾性板以内の面積を算出し、ステント留置6週間後の面積とステント留置直後の面積の差を算出し、血管リモデリングとして比較した。血管リモデリングに両群間に有意差はなかった。摘出血管の病理組織学的検討は現在解析中である。
G-CSF溶出性生体吸収性ステントの作成は、この血管壁反応などの基礎データを取得してから着手することを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究実績の概要にも記したように、ブタの全身麻酔深度の微調整とステントデバイスの確実な留置手技の確立に工夫と時間を要した。さらに実際に留置後の経過を観察する中で、ブタ動脈におけるステント留置部の強い内膜肥厚所見が示唆されたため、当初の実験計画の修正を余儀なくされた。達成度に遅れを生じる結果となったが、生体吸収性ステントの留置実験を継続するにあたり、ブタ動脈における金属ステントと比較した開存性や血管壁反応の違いをまず初めに検討し、今後蓄積するデータの基本データとしての活用を考えている。

今後の研究の推進方策

ミニブタ5頭へのステント留置実験で採取した検体で、病理組織学的検討をまず行う。ステント留置近位部、中間部、遠位部で切片を作成し、HE染色およびElastica van Gieson染色を行い、内膜や中膜の肥厚などを金属ステントと生体吸収性ステントで比較する。またステント留置部血管壁の炎症スコアおよび血管損傷スコアによる評価も検討している。これらから得られた血管壁反応の基礎データをもとに、研究協力を得ている京都医療設計株式会社とともに、G-CSFを混入させた生体吸収性ステントの作成に着手する予定である。また、上記実験で薬剤非含有生体吸収性ステントの十分なデータが得られれば、研究計画2に記載した「ミニブタの腸骨動脈への薬剤非含有生体吸収性ステントとG-CSF溶出生体吸収性ステントの留置」の実験の割愛を検討している。
次いでミニブタの下肢虚血モデルの作成にとりかかる。この手技の確立には一定の時間を要すると予想している。
最終的には、ミニブタ下肢虚血モデルで、薬剤非含有生体吸収性ステントとG-CSF溶出生体吸収性ステント留置による患肢の血管新生の比較検討まで行うことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

実験計画の修正により、ブタ使用数や機材使用数が予想より少なくなり、物品費が少なくなったため。

次年度使用額の使用計画

研究室の人員変更に伴い、本研究遂行に継続した協力要員が必要になったため、兼務職員を雇う人件費に重きをおいて使用を予定している。

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公開日: 2016-06-01  

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