研究実績の概要 |
予備実験にてブタ動脈におけるステント留置部の強い内膜肥厚所見が示唆されたため、昨年度より実験計画を修正して、G-CSF溶出生体吸収性ステント作成のための基礎データとして、金属ステントをコントロールとし、生体吸収性ステントのブタ動脈における開存性や血管壁反応の違いの検討を先に行っている。本年度はステント留置部の、留置6週間後の病理組織学的検討を行った。血管内腔面積、内弾性板内面積 (IEL)、外弾性板内面積 (EEL)はいずれも生体吸収ステント群で金属ステントと比較して有意に縮小していた (血管内腔: 3.45 mm2 vs. 11.9 mm2, P < .001; IEL: 9.28 mm2 vs. 28.75 mm2, P < .001; EEL: 14.36 mm2 vs. 31.84 mm2, P < .001) 。新生内膜面積 (IEL-血管内腔面積)は、生体吸収ステント群において、金属ステント群と比較して有意に縮小していた (5.83 mm2 vs. 16.85 mm2, P<.001)。一方で、中膜面積 (EEL-IEL)は金属ステント群と比較して、生体吸収ステント群で有意に拡大していた (5.08 mm2 vs 3.09 mm2, P<.001)。また狭窄率 (新生内膜面積/IEL)は生体吸収ステント群と金属ステント群で有意差を認めなかった (63.1% vs. 58.9%, P = .524)。これらの結果より、従来の金属ステントと比較して、狭窄率に違いはないものの、異なった血管壁への反応を示していることが示された。 またブタ下肢虚血モデルの作成手技の確立を図り、手術手技は安全に施行可能となった。
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