研究課題
ヒトNKT細胞と抗原提示細胞、NKT細胞と腫瘍細胞との相互作用の際に、PDL1に対する阻害抗体を使用することで、NKT細胞のサイトカイン産生能や直接的な抗腫瘍効果が増強することを、平成26年度、27年度にin vitroの実験系で確認してきた。平成28年度は、さらにPDL1阻害抗体を併用して活性化したNKT細胞によるNK細胞の抗腫瘍効果の増強にも着目し、健常人の検体を用いて研究を行った。これまでのin vitroの研究の結果から、NKT細胞を活性化する際に抗PDL1抗体を加えることでTh1サイトカインの産生能が上がり、さらにNK細胞の抗腫瘍活性の改善につながる可能性があるということが明らかとなった。また、腫瘍に発現するPDL1を阻害することで、NKT細胞による直接的な抗腫瘍効果が改善することを示した。以上の研究成果を論文として発表した(Kamata et al. Cancer Immunol Immunother 2016)。これまで本研究のような、ヒトNKT細胞のPD-1/PDL1の阻害による機能改善を詳細に解析した研究の報告はほとんどない。今後さらにin vivoの系を用いた検討を加えることで、肺癌に対するNKT細胞免疫治療に抗PD-1/PDL1抗体を加える複合免疫療法を開発する重要な科学的根拠となる可能性がある。当初の実験計画にあったin vivoでの検討として、平成27年度までに重症複合免疫不全マウスにluciferase遺伝子導入ヒト肺癌細胞株を投与して、非侵襲的に繰り返し腫瘍量の測定が可能なヒト肺癌モデルを作成した。本年度は、本マウスモデルにヒトNKT細胞を投与し、抗腫瘍効果を評価する研究を開始した。今後、PD-1/PDL1の阻害抗体を加えて検討を行っていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Cancer Immunology Immunotherapy
巻: 65 ページ: 1477-1489
10.1007/s00262-016-1901-y