研究実績の概要 |
当初の計画をもとに、赤色蛍光蛋白に標識された癌細胞株(Lewis lung carcinoma)を、GFPマウス(C57/BL)の肺に移植し、移植後5,10,15日目にマウスを犠牲死させ肺門リンパ節、縦隔リンパ節の微小転移巣を蛍光顕微鏡で観察した。癌細胞とストローマ細胞を含む微小転移巣を観察し、その形態的特徴を経時的に記録した。さらに、得られたリンパ節をフローサイトメトリーで選別しT細胞リンパ球の分画を解析した。これと並行して、癌細胞の挙動の可視化のためレトロウイルスシステムを用いてGFPを導入することを試みた。より効果的な遺伝子導入が得られるとされるレトロネクチンプレートを使用して癌細胞へのGFP遺伝子導入を試みた。しかし試行錯誤したものの導入を成功させるには至らなかった。本研究は最終的には当初計画していた成果を全て達成するには至らなかったが、マウスモデルを使用しての実験的癌細胞リンパ節転移モデルを作成することができた。さらにこのリンパ節転移マウスモデルで得られた微小リンパ節転移巣を使用してT細胞リンパ球の分画を解析することができた。今後の研究の展開に関しては、引き続き癌細胞の挙動の可視化のためレトロウイルスシステムを用いてGFPを導入することを試みる。さらに当初の計画であるフローサイトメトリーによるストローマ細胞のフェノタイプの検討し、リンパ管新生促進成長因子VEGF-Cを線維芽細胞に発現させた腫瘍やヒトCancer associated fibroblast(CAF)を含んだ腫瘍での解析も行い、研究結果について発表・論文作成を行う予定である。
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