研究課題/領域番号 |
26861127
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
重信 敬夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50626702)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | BOS / Pioglitazone / マウス気管移植モデル |
研究実績の概要 |
肺移植後の慢性期合併症であるbronchiolitis obliterans syndromeは、高い罹患率及び死亡率という観点から、予防法の改善、開発が重要な課題となっている。Peroxisome proliferator-activated receptor-γ(PPARγ)に対するリガンドであり、抗炎症作用、抗酸化作用、抗線維化作用が報告されているチアゾリジン誘導体の一つであるPioglitazoneにより、移植後の拒絶反応を軽減することが可能であることを、マウス気管移植モデルで検討した。【方法】マウス同所気管移植モデルにおいて検討した。BALB/c またはC57BL/6をドナー、C57BL/6をレシピエントとした。実験群ではPioglitazoneを5mg / kg の量で術前2日より連日腹腔内投与した。移植後7日で犠牲死させ、グラフトの病理組織学検討,炎症性サイトカインの発現検索を行った。【結果】Pioglitazone投与群でグラフトの 気管内腔狭窄の抑制が認められた。成熟T細胞のグラフトへの浸潤は抑制しなかったが、制御性T細胞の集積を認めた。さらにreal time PCRで炎症性サイトカインの発現量低下を認めた。【結論】PPARγのリガンドであるPioglitazone投与により、マウス気管移植モデルにおいてグラフトの狭窄抑制、制御性T細胞の集積、炎症性サイトカインの発現量低下を認め、移植後の拒絶反応を抑制する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マウス気管移植モデルにおける移植気管の閉塞、拒絶反応をPioglitazoneによって抑制できることが確認できた。本研究の成果は、第31回日本肺および心肺移植研究会、第115回日本外科学会定期学術集会で発表し、論文化しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容を論文化し投稿する方針である。追加実験を求められればその都度対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究の進捗状況が順調であったため、実験で使用する物品のほか、学会発表や論文化のために前倒し申請を行ったが、想定より使用額が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文の作成および雑誌への投稿、学会発表への使用を予定する。追加実験が必要になればそのために助成金を使用する。
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