研究課題/領域番号 |
26861129
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
工藤 勇人 東京医科大学, 医学部, 助教 (80623800)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | klotho / 肺癌 / タキサン系抗癌剤 / 再発 |
研究実績の概要 |
本研究では、1. 肺癌細胞においてアンチエイジング遺伝子klotho発現と発癌過程や浸潤・転移能との関係、またklotho発現と生物学的悪性度を規定する因子との相関についての解析、2. アンチエイジング遺伝子klotho発現が肺癌細胞においてタキサン系抗癌剤への感受性をあげる分子生物学的メカニズムの解明、が目的である。 初年度は、肺癌切除標本を用いて、肺癌の生物学的悪性度を規定する因子を検討し症例の選定を行った。(1) 術前の薄切CT所見に基づき、GGO/Solid混在病変を有する小型肺腺癌を分類し、肺腺癌国際分類(IASLC/ATS/ERS分類)や脈管侵襲やリンパ節転移との関係を検討した。現在、切除標本を免疫組織学的染色によりklotho発現を確認し、肺癌の生物学的悪性度との関連の評価を行う予定である。(2) 肺癌根治切除症例に対して、再発後生存に関わる因子についての検討を行った。EGFR遺伝子変異は術後再発時にEGFR-TKIの効果予測因子として重要な因子であるが、再発後生存に病理病期分類が予後因子であるという結果を得た。今後これらの因子別にklothoの発現の有無を検討し、再発後治療を含めて評価していく予定である。 さらに、研究者らはこれまでklotho発現のない癌細胞株はタキサン系抗癌剤への抵抗性を示すことを報告してきたが、このメカニズムの解明のためin vitroで検討を行った。 (3)肺癌細胞株を用いてklothoの発現の有無とclassIII β-tubulin、P 糖蛋白(MDR1/ABCB1)の発現をwestern blot法を用いて比較を行った。現在、klotho発現のある安定細胞株を作成中であり、さらなる検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、遺伝子導入を行いklothoの発現した安定細胞株を作成中であるが、時間がかかかっている。しかし、安定細胞株の完成が遅延することに関しては想定内であり、解決策に関してもこれまでに検討を行い、現在も研究を継続中である。その他の肺癌切除検体を用いた検討については、概ね順調に研究を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1.肺癌切除検体を用いて、Klothoの発現とEMTの関係について免疫組織学的に解析を施行し、臨床病理学的因子について検討を行う。 2.ヒト肺癌細胞株を用いて、klothoの発現がタキサン系抗癌剤に対する感受性を向上させるメカニズムについて検討する。 3.Klotho発現安定細胞株を用いて、これをヌードマウスに移植し、KlothoとEMT関連蛋白の発現の関係について、Klothoを過剰発現していない親株を用いたマウスと比較検討する。さらに抗癌剤の感受性に関しても、比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究で、試薬や物品、免疫組織学的染色等の費用や、情報発信のための学会活動や論文報告の費用を効率的に使用できた結果、次年度使用額が若干生じたと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究を進めるにあたり、次年度の予算と合わせて、試薬や物品、実験動物の購入や免疫組織学的染色等の費用、さらに学会や論文報告のために使用する予定である。
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