研究課題
本研究では、(1)肺癌細胞においてアンチエイジング遺伝子klothoの発現と発癌過程や浸潤・転移能との関係、またklotho発現と生物学的悪性度を規定する因子との相関についての解析、(2)アンチエイジング遺伝子klotho発現が肺癌細胞においてタキサン系抗癌剤への感受性をあげる分子生物学的メカニズムの解明、が目的である。肺癌切除標本を用いて、肺癌の生物学的悪性度を規定する因子を検討し症例の選定を行った。①術前の薄切CT所見に基づき、GGO/solid混在病変を有する小型肺腺癌手術症例の選定を行い、WHO腺癌分類や脈管侵襲やリンパ節転移との関係を検討した。さらに、CT画像を3D構築して、充実成分とすりガラス成分の計測を行うことで従来の2次元での計測に比べより正確に脈管侵襲を予測しうることが可能であった。また、WHO腺癌分類のsubtypeの一つである浸潤性粘液産生性腺癌における再発に関する因子の検討を行った。②肺扁平上皮癌において、リンパ節転移の進展の程度により予後との関係を検討した。N1症例は、N0と同等の予後であった。③病理病期IB期非小細胞癌における術後補助化学療法の有効性の検討を行い、血管浸潤を有する症例において術後補助化学療法が有効であるという結果をえた。④空洞を有する非小細胞肺癌に関する予後因子の検討を行い、空洞の最大壁厚が腫瘍径やリンパ節転移よりも強力な予後因子であることを示した。またin vitroの研究では、MCF7c3細胞株を用いてklotho遺伝子を導入した後、klothoの発現とタキサン系抗癌剤の感受性に関与しうるclass III β-tubulinおよびP糖蛋白の発現の有無をWestern blot法により検討した。klothoの発現に関係なくclass III β-tubulinは発現を認め、一方P糖蛋白は発現を認めなかった。現在、肺癌細胞株PC-9、PC-14、A549、SBC-3を用いて、klotho遺伝子を導入し、限界希釈法により安定細胞株の作成を行っている。
すべて 2015
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Lung Cancer
巻: 90 ページ: 47-54
10.1016/j.lungcan.2015.07.007. Epub 2015 Jul 26