研究課題/領域番号 |
26861130
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
嶋田 善久 東京医科大学, 医学部, 助教 (00459497)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺癌 / 間質性肺炎 / 肺線維症 / ムチン遺伝子 |
研究実績の概要 |
特発性肺線維症(IPF)は予後不良であり、線維化肺より高率に肺癌が発生する。IPF合併肺癌において肺癌治療が致死的な急性増悪の誘因となるため、IPFの存在は事実上肺癌の治療制限因子である。IPF合併肺癌の線維化/発癌機構の解明が急がれており、近年その機序の一つとしてムチン蛋白遺伝子の影響による粘液過剰産生機構の関与が明らかとなってきた。本年度は①患者検体の収集とプロファイルの作成、間質性肺炎(IP)合併肺癌患者に対する家族性肺線維症(FIP)についての病歴聴取、②肺癌切除標本を用いた免疫組織学的染色(IHC)による各種MUC蛋白発現(MU1、MUC4、MUC5AC、MUC5B)と臨床病理学的因子の関連性についての検討、③患者標本を用いたMUC5Bプロモーター領域(re35705950)発現解析を行った。IPFを併存する肺癌切除後患者7名にFIPの病歴聴取を行ったが、いずれも家族歴はなかった。2009年1月から2010年3月までの期間における非小細胞肺癌完全切除例176例のうちIPF合併例は19例(10.2%)であった。IHCでは5%以上の腫瘍細胞が染色される場合、陽性と判断した。MUC1/4/5AC/5Bの陽性率はそれぞれ85%/47%/28%/57%であり、MUC1陰性例及びMUC5B陽性例で有意に予後不良であった(p=0.007、p=0.033)。IPF合併と各種MUC蛋白発現との間に有意な相関は認めなかったが、MUC5Bを除きいずれも腺癌での発現が有意に高頻度であった。肺癌切除標本376例の癌部、非癌部の肺を採取し、上記SNPタイピングで危険対立遺伝子のヘテロを示したのは3例(0.8%)であり、うち2例では癌部、非癌部でも同様の結果が示されたが、いずれもIPFは併存していなかった。このSNP発現は人種間での差異があるとの報告もある。このように本年度は主に臨床検体を用いて、MUC関連蛋白及び遺伝子発現解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は肺癌切除例におけるムチン関連蛋白発現と臨床病理学的因子との関連性について検討し、さらにIPFの発症機構に関与する可能性が示唆されているMUC5B遺伝子に関連するSNP解析を行った。本年度は予定通り臨床検体を用いた解析を行い、特定のMUC蛋白発現が肺癌の予後と関連することがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は肺癌細胞株及び線維芽細胞株を用いて、数種類の異なる機序を持つ粘液産生阻害剤あるいは抗癌剤の反応を観察し、MUC遺伝子の影響による粘液産生過剰産生メカニズムと、発癌母地としての肺線維化巣における癌化機構との関連を明らかにしていく。具体的には肺線維芽細胞株においてMUC遺伝子が線維化進展機序にどのように関与するかについての検討、肺癌細胞株におけるMUC遺伝子抑制下の抗癌剤感受性試験や浸潤、転移能の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験は概ね順調に経過しており、予定通り実験経費を使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も実験経費、学会参加旅費、論文製作費、PCなどに使用する予定である。
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