特発性肺線維症(IPF)は予後不良であり、また線維化肺より肺癌が高率に発生する。この肺の不可逆的線維化を母地とする発癌機序を解明することが本研究の目的である。現在まで、肺の線維化機序に関しては炎症、免疫異常による組織障害等の観点からの研究が大部分であった。しかし近年MUC5BなどのMUC蛋白質遺伝子の影響による粘液過剰産生機構の関与が明らかとなった。本研究では、肺癌診療上様々な制約をもたらすIPF合併肺癌の病態解明と治療を確立すべく、MUC遺伝子によって調節される粘液過剰産生機構が癌化イニシエーターとなるのかどうかについて検証した。
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