研究課題/領域番号 |
26861131
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
米田 和恵 産業医科大学, 医学部, 助教 (80724806)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原発性肺癌 / 循環腫瘍細胞 / 肺静脈血 |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍の血行性転移には血液中の循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)の関与が示唆される。これまで、CTC測定の標準装置とされるCellSearchを用いた研究で肺癌患者の末梢血液から検出されるCTCは、遠隔転移の指標として有用であるが検出感度が低い。末梢血ではCTCの濃度が低い、つまり原発巣から全身循環に入る際に希釈されているとすれば、原発巣から全身循環に入る肺静脈の血液にはCTCが高濃度で存在するかもしれない。実際に肺癌患者の肺静脈血には末梢血に比較して多数のCTCが検出されている。本研究では肺癌患者のCTCを効率よく採取し、その生物学的特性を明らかにすることを目的として研究を進めている。 今年度は、原発性肺癌における肺葉切除例の術前末梢血と術後(肺葉切除後)の肺静脈血を採取し、血漿分離後Ficollを用いた密度勾配遠心法により単核球分画を分離し複数に分注して保管した。今年度採取した64例のうち、十分な量(3mL以上)が得られたのは11例であった。そのうち比較的量が多く採取できた例について、CellSearchによるCTC測定、サイズ分離フィルター、新たに開発したCTC-Chip等を用いてCTC数の測定を行った。肺静脈血のCTCは末梢血に比べて数が多く、集塊になっているものも多く観察された。 今後、採取した細胞について生存能の確認、表面抗原解析、幹細胞マーカーについての遺伝子発現解析等を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象例について術後に肺静脈から採取できる血液の量は状況に応じて大きく異なり、解析に十分な量の採血ができない場合が多かったため。また、細胞増殖性の確認に長期培養が必要であるため。
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今後の研究の推進方策 |
肺静脈血だけでなく末梢血液も同様に分離・保管し、肺静脈血を用いた解析結果が末梢血液で代用できるかどうかの検証を行う。ストックしたサンプルを用いて解析できるものはまとめて行い効率化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析に必要な肺静脈血が十分に得られなかったため。また、効率的に研究を進められるよう今年度は検体を集積・保管し、次年度での解析を予定しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
集積した検体の解析に使用。少量の血液を用いたCTC検出法の検討(検出デバイス、捕捉・検出抗体)、腫瘍組織における幹細胞マーカーの発現を確認する。(免疫染色用抗体等)
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