原発性肺癌切除後の予後改善のためには術後の遠隔転移再発の制御が大きな課題である。腫瘍を完全切除し得てもなお再発・遠隔転移を来す例は少なくない。腫瘍の血行性転移には、血液中の循環腫瘍細胞の関与が示唆される。我々はこれまで肺癌患者の末梢血及び肺静脈血のCTCを定量し、遠隔転移との関連を見出した。 そこで本研究では、肺から全身循環へとつながる肺静脈の血液中から、増殖・生着能を持つ肺癌細胞の分離を試み、肺癌治療の新たな標的を見出すことを目的としたが、今回検討を行った肺癌手術例の中で肺静脈中に体外で自己増殖能を持つ癌細胞はほとんど見られなかった。
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