研究課題
未治療の肺がん患者を対象とし、実験方法の確立のために40例、本解析として10例、合計50例の肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得た。次世代シーケンサーにより同定したアミノ酸置換を伴う遺伝子変異に起因する抗原ペプチドの中から、実際に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が認識しているペプチドを同定するためには、自己のターゲット細胞のHLA-class I分子に候補となるペプチドを提示させ、TILとの反応性を調べる必要がある。当初は、オーバーラップペプチドを作製する計画であったが、候補となる遺伝子変異一つに対して9種類のペプチドを作製する必要があるため、患者一人に100種類以上あることが予想される遺伝子変異一つ一つに対してオーバーラップペプチドを用意することは非常に困難である。そのため、変異部位を含む長鎖ペプチド、あるいは長鎖ペプチドを発現するDNAまたはmRNAを細胞に導入し、ペプチドを提示させることとした。まず自己のターゲット細胞にペプチドを提示させる方法として、抗原ペプチドを含む長鎖ペプチドをコードするmRNAをin vitro合成し、細胞に導入し発現させる方法を検討した。ポジティブコントロールの抗原として、細胞から内因性に提示されることが既に確認されているHLA-A*02:01およびA*24:02拘束性Glypican-3 (GPC3)由来長鎖ペプチドと、既に樹立しているGPC3ペプチド特異的CTLクローンを使用した。この系を用いて、現在、長鎖ペプチド、DNA、mRNAのいずれの方法が効率よくペプチドを提示させられるかを決定している段階であり、当初の計画よりやや遅れてはいるが、実際の肺がん患者切除検体を用いた解析を行う準備がほぼ整いつつある。今後多くの患者検体を用いた解析を行い、最大限の成果を報告できるよう努める。
3: やや遅れている
肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得た。自己のターゲット細胞にペプチドを提示させる方法として、候補となる抗原の長鎖ペプチド、および長鎖ペプチドをコードするDNA、mRNAを合成し、細胞に導入し発現させる方法を検討した。当初の計画よりやや遅れてはいるが、実際の肺がん患者切除検体を用いた解析を行う準備がほぼ整いつつある。
今後、候補となる抗原ペプチドを提示させる方法を速やかに決定した後、実際の肺がん患者切除検体を使用した解析を行う。まず、TILを培養する方法を確立する。また、患者個々の腫瘍細胞のcDNAライブラリーを作製することや、腫瘍細胞をターゲットとした細胞傷害性試験を行うためには、がん細胞株を樹立する必要がある。これまで肺がんでは、がん細胞株の樹立が困難であると言われているが、最近急速に進歩しているPatient-derived xenograft (PDX)の技術も駆使して免疫不全マウスに移植することや、細胞を不死化させることにより、がん細胞株の樹立を試みる。最終的には、TILの培養法を確立し、患者個々のがん細胞株を樹立する技術も向上させて、目的であるTILの認識抗原を同定することにとどまらず、患者のTILが自己のがん細胞を傷害できるかを確認できる系の確立にもチャレンジする。
当該年度では、肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得て、実験条件の最適化を行った。次年度より実際の肺がん患者切除検体を用いた解析に使用する。
今後、実験方法を速やかに決定した後、実際の肺がん患者切除検体を使用した解析に使用する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)
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