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2014 年度 実施状況報告書

肺がんの複雑な遺伝子変異を利用した腫瘍浸潤リンパ球療法の開発を目指した基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 26861133
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

吉川 聡明  独立行政法人国立がん研究センター, 早期・探索臨床研究センター, 研究員 (00625957)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード肺がん / 遺伝子変異由来抗原 / 腫瘍浸潤リンパ球
研究実績の概要

未治療の肺がん患者を対象とし、実験方法の確立のために40例、本解析として10例、合計50例の肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得た。次世代シーケンサーにより同定したアミノ酸置換を伴う遺伝子変異に起因する抗原ペプチドの中から、実際に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が認識しているペプチドを同定するためには、自己のターゲット細胞のHLA-class I分子に候補となるペプチドを提示させ、TILとの反応性を調べる必要がある。当初は、オーバーラップペプチドを作製する計画であったが、候補となる遺伝子変異一つに対して9種類のペプチドを作製する必要があるため、患者一人に100種類以上あることが予想される遺伝子変異一つ一つに対してオーバーラップペプチドを用意することは非常に困難である。そのため、変異部位を含む長鎖ペプチド、あるいは長鎖ペプチドを発現するDNAまたはmRNAを細胞に導入し、ペプチドを提示させることとした。まず自己のターゲット細胞にペプチドを提示させる方法として、抗原ペプチドを含む長鎖ペプチドをコードするmRNAをin vitro合成し、細胞に導入し発現させる方法を検討した。ポジティブコントロールの抗原として、細胞から内因性に提示されることが既に確認されているHLA-A*02:01およびA*24:02拘束性Glypican-3 (GPC3)由来長鎖ペプチドと、既に樹立しているGPC3ペプチド特異的CTLクローンを使用した。この系を用いて、現在、長鎖ペプチド、DNA、mRNAのいずれの方法が効率よくペプチドを提示させられるかを決定している段階であり、当初の計画よりやや遅れてはいるが、実際の肺がん患者切除検体を用いた解析を行う準備がほぼ整いつつある。今後多くの患者検体を用いた解析を行い、最大限の成果を報告できるよう努める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得た。自己のターゲット細胞にペプチドを提示させる方法として、候補となる抗原の長鎖ペプチド、および長鎖ペプチドをコードするDNA、mRNAを合成し、細胞に導入し発現させる方法を検討した。当初の計画よりやや遅れてはいるが、実際の肺がん患者切除検体を用いた解析を行う準備がほぼ整いつつある。

今後の研究の推進方策

今後、候補となる抗原ペプチドを提示させる方法を速やかに決定した後、実際の肺がん患者切除検体を使用した解析を行う。
まず、TILを培養する方法を確立する。また、患者個々の腫瘍細胞のcDNAライブラリーを作製することや、腫瘍細胞をターゲットとした細胞傷害性試験を行うためには、がん細胞株を樹立する必要がある。これまで肺がんでは、がん細胞株の樹立が困難であると言われているが、最近急速に進歩しているPatient-derived xenograft (PDX)の技術も駆使して免疫不全マウスに移植することや、細胞を不死化させることにより、がん細胞株の樹立を試みる。最終的には、TILの培養法を確立し、患者個々のがん細胞株を樹立する技術も向上させて、目的であるTILの認識抗原を同定することにとどまらず、患者のTILが自己のがん細胞を傷害できるかを確認できる系の確立にもチャレンジする。

次年度使用額が生じた理由

当該年度では、肺がん組織切除検体を使用する研究計画を立て、国立がん研究センター研究倫理審査委員会に申請し、研究許可を得て、実験条件の最適化を行った。次年度より実際の肺がん患者切除検体を用いた解析に使用する。

次年度使用額の使用計画

今後、実験方法を速やかに決定した後、実際の肺がん患者切除検体を使用した解析に使用する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Programmed death-1 blockade enhances the antitumor effects of peptide vaccine-induced peptide-specific cytotoxic T lymphocytes.2015

    • 著者名/発表者名
      Sawada Y, Yoshikawa T, Shimomura M, Iwama T, Endo I, Nakatsura T.
    • 雑誌名

      Int. J. Oncol.

      巻: 46 ページ: 28-36

    • DOI

      10.3892/ijo.2014.2737.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A peptide antigen derived from EGFR T790M is immunogenic in non‑small cell lung cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Ofuji K, Tada Y, Yoshikawa T, Shimomura M, Yoshimura M, Saito K, Nakamoto Y, Nakatsura T.
    • 雑誌名

      Int. J. Oncol.

      巻: 46 ページ: 497-504

    • DOI

      10.3892/ijo.2014.2787.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Critical analysis of the potential of targeting GPC3 in hepatocellular carcinoma.2014

    • 著者名/発表者名
      Ofuji K, Saito K, Yoshikawa T, Nakatsura T.
    • 雑誌名

      Journal of Hepatocellular Carcinoma.

      巻: 1 ページ: 35-42

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Detection and preliminary evaluation of circulating tumor cells in the peripheral blood of patients with eight types of cancer using a telomerase-specific adenovirus.2014

    • 著者名/発表者名
      Yabusaki M, Sato J, Kohyama A, Kojima T, Nobuoka D, Yoshikawa T, Sawada Y, Murakami K, Gohda K, Okegawa T, Nakamura M, Takamatsu K, Ito M, Kaneko K, Nakatsura T.
    • 雑誌名

      Oncol. Rep.

      巻: 32 ページ: 1772-1778

    • DOI

      10.3892/or.2014.3436.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Large-scale expansion of γδ T cells and peptide-specific cytotoxic T cells using zoledronate for adoptive immunotherapy.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshikawa T, Takahara M, Tomiyama M, Nieda M, Maekawa R, Nakatsura T.
    • 雑誌名

      Int. J. Oncol.

      巻: 45 ページ: 1847-1856

    • DOI

      10.3892/ijo.2014.2634.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Glypican-3(GPC3)ペプチドワクチン投与後の投与局所及び腫瘍局所でのペプチド特異的CTL の解析2015

    • 著者名/発表者名
      吉川聡明、下村真菜美、澤田雄、高橋真理、植村靖史、中面哲也
    • 学会等名
      第12回日本免疫治療学研究会学術集会
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス 東京都
    • 年月日
      2015-02-28
  • [学会発表] Analysis of glypican-3 specific CTLs in the tumor tissue and vaccination site after administration of GPC3 peptide.2014

    • 著者名/発表者名
      吉川聡明、下村真菜美、澤田 雄、植村靖史、中面哲也
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 横浜市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Evaluation of peptide-specific CTL-inducible ability of glypican-3-derived p eptide-coupled liposome vaccine.2014

    • 著者名/発表者名
      岩間達章、内田哲也、下村真菜美、吉川聡明、中面哲也
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 横浜市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] The enhancement of the CTL induction by peptide vaccine therapyin combinatio n with anti-CD4 antibody2014

    • 著者名/発表者名
      藤浪紀洋、吉川聡明、澤田雄、下村真菜美、岩間達章、植村靖史、中面哲也
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 横浜市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] EGFR T790M mutation-derived antigen provides the immunogenicity in NSCLC patients.2014

    • 著者名/発表者名
      大藤和也、吉川聡明、多田好孝、吉村麻友子、下村真菜美、中本安成、中面哲也
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 横浜市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Glypican-3(GPC3) ペプチドワクチン投与後の投与局所及び腫瘍局所でのペプチド特異的CTLの解析2014

    • 著者名/発表者名
      吉川聡明、下村真菜美、澤田雄、高橋真理、吉原宏樹、上野浩生、真部淳、細野亜古、植村靖史、中面哲也
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール 松山市
    • 年月日
      2014-07-30 – 2014-08-01
  • [学会発表] Glypican-3由来エピトープペプチド結合リポソームのCTL誘導能の評価2014

    • 著者名/発表者名
      岩間達章、内田哲也、下村真菜美、吉川聡明、中面哲也
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール 松山市
    • 年月日
      2014-07-30 – 2014-08-01
  • [学会発表] がんペプチドワクチン後予後予測マーカーとしての治療前血中IL6・IL8 の意義2014

    • 著者名/発表者名
      藤田知信、野路しのぶ、南雲春奈、岡本正人、桜井敏晴、澤田雄、吉川聡明、下村真菜美、中面哲也、野口正典、松枝智子、伊東恭悟、硲彰一、竹之内寛子、岡正典、河上裕
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール 松山市
    • 年月日
      2014-07-30 – 2014-08-01
  • [図書] Development of glypican-3-targeted cancer immunotherapy.2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshikawa T, Sawada Y, Sakai M, Ofuji K, Nakatsura T.
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      Inflammation and Immunity in Cancer, Springer, Germany

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公開日: 2016-06-01  

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