研究課題
C型ナトリウム利尿ペプチド (CNP;C-type Natriuretic Peptide) を用いた、肺線維症・間質性肺炎及びその急性増悪に対する予防・治療を考案することを目的として、本研究を計画した。肺線維症・間質性肺炎及びその急性増悪の動物モデルを用いてCNPによる抗炎症・抗線維化効果とその機序を明らかとし、さらにヒト肺由来線維芽細胞に対するCNPの作用機序を解明することで、臨床応用を目指す。肺線維症・間質性肺炎の急性増悪に対する予防・治療を検討する動物モデルとして、ブレオマイシンにより予め肺線維症を惹起したマウスに手術侵襲を仮想した炎症刺激（リポポポリサッカライド）を加えて、その生体反応を検討したところ、著明な炎症反応と有意な生存率の低下を認めた。同モデルは肺線維症・間質性肺炎の急性増悪の臨床像を模倣するものと考えた。マウスに対するリポポリサッカライド投与により惹起される肺での急性炎症反応は、CNP投与によって抑制された。このことから、CNPが急性肺障害の有効な治療法につながる可能性が示唆された。ブレオマイシンによる肺線維症モデルマウスに対してCNPを投与することでマウス肺の線維化が抑制された。線維芽細胞においてCNPを過剰に発現するマウスを用いた検討でも同様の結果が得られた。また、肺癌切除術によって得られた臨床検体を用いて、背景にある肺から線維芽細胞を初代培養したところ、間質性肺炎合併症例、非合併症例いずれの肺線維芽細胞でもCNPの膜型受容体であるGC-Bの発現を確認した。線維芽細胞へのTGF-β刺激に対し、CNP添加で、線維芽細胞活性化が抑制された。CNPはヒト肺においても、線維芽細胞を介する抗線維化効果を有する可能性が示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
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