ラット内頚動脈穿通によるくも膜下出血モデル作成を行った。SD雄ラット(400-450g)を用いた。全身麻酔後に経口挿管し、外頚動脈stumpから3-0ナイロン糸相当のタングステンワイヤーをシースとともに内頚動脈へ挿入、ワイヤーによる内頚動脈分岐部穿通にてくも膜下出血を作成した。この手技に先立って左頭部穿頭を行い、左前頭葉へ脳圧センサー先端を挿入、留置してくも膜下出血作成前から持続的に脳圧をモニタリングしている。くも膜下出血作成直後の死亡率は約20-30%であった。くも膜下出血作成後の脳圧更新は40-200mmHgであったが、脳圧が120mmHgを超えたラットは高率に死亡した(人工呼吸器へ接続のうえ、全例蘇生処置施行)。Sham群にて穿通後に開頭術を施行、くも膜下出血が良好に作成されていることを確認した。くも膜下出血作成時、特に脳圧亢進が著しいラットにおける死亡率は低減の工夫が今後の課題である。作成したラットくも膜下出血モデルに対して、Sham群、くも膜下出血群の他に、くも膜下出血後エダラボン治療群を作成、24時間後に安楽死を行い、以下の検査項目につきそれぞれ生標本、灌流固定標本を取り出し検討を行った。まず、アポトーシスの検出としてTUNEL染色およびカスパーゼ3をELISAにて測定し、さらに抗ラジカル染色を追加した。脳圧亢進の比例してアポトーシスが増加し、Early brain injuryの発生が確認できた。一方、いずれの項目においてもエダラボン治療群において改善傾向は認めたものの、有意差は得られなかった。脳浮腫については脳乾燥法による重量測定を行ったが、エダラボンによる治療効果は明らかにはできなかった。血管脳関門の破綻についてはMMP-9をELISAにて測定、エダラボンにて有意差を持って治療効果が得られた。
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