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2015 年度 実施状況報告書

根治性と機能温存を両立する新規脳動脈解離治療用ステントの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26861138
研究機関東北大学

研究代表者

遠藤 英徳  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 学部非常勤講師 (40723458)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード脳動脈解離 / 穿通枝 / 脳血管内治療 / ステント / 数値流体力学
研究実績の概要

椎骨動脈解離に対する治療方法として,解離部全体を閉塞する親動脈閉塞という方法がある.当院で2006年から2011年までに親動脈閉塞を用いて治療を行った38例の治療成績をまとめてみると,18例(47%)に穿通枝梗塞が生じていることが明らかとなった.そこで,2012年以降は,脳血管撮影で穿通枝を同定し,これを温存しつつ親動脈閉塞を行っている.そのような治療方法で16例を治療し,穿通枝梗塞が3例(19%)まで減らすことができた.これにより,6ヶ月後の臨床転帰良好例が60%から94%に増加した(p=0.021).しかし,親動脈閉塞では,閉塞範囲に穿通枝が含まれなくとも,周囲に血栓形成が及ぶことで穿通枝閉塞を起こす可能性がある.また,穿通枝は非常に細く,脳血管撮影で同定することが困難な場合も考えられる.従って,ステントを使用することで親動脈を温存しつつ解離を治癒することが出来れば穿通枝閉塞も回避できる可能性が高い.現在は新たに来院した患者に血管撮影を行い,解離の形態的評価とともに解離周囲からの穿通枝の起始を確認し,穿通枝起始部の解剖学的なバリエーションを検討している.さらに,解離部におけるcomputational fluid dynamicsの解析を行い,流体工学的に血流阻害効果の得られる条件、停滞する流れ環境下においても血流停止が生じない分枝細血管の開存が維持される条件を明らかにしている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2014年度以降に来院した出血性椎骨動脈解離の症例が9例にとどまり,前向きの情報収集が進まなかった。今後は以前の治療症例も含めて後方視的解析を行う予定である。
理論解析については計画通り解析を実施できているので、今後、さらに症例のリクルートを推進し、当初予定していた工程に復帰する。

今後の研究の推進方策

脳動脈解離のcomputational fluid dynamicsに関しては,flat panel detectorを用いた3次元脳血管撮影または3-Tesla magnetic resonance(MR)血管撮影により十分な解像度の3次元DICOMデータを取得、閾値設定によらない、変曲点を利用した形状抽出法により安定したモデルを構築する。血行力学的パラメータとして壁せん断応力の時間平均と最大値、壁せん断応力が最大となる時間、せん断応力との標準偏差と平均値の比、oscillating shear index(OSI)、relative residence time(RRT)を含めたパラメータを算出する。CFD解析の結果得られた最適な条件でステントを試作する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度に金属材料的に生体適合性に優れ、理論解析も踏まえたステントに関してのプロトタイプ案は作成したものの、症例数が少ないため、十分なvalidationに至らず、動物実験で実証するところまで至っていないため、動物実験で計上していた予算が残額となった。

次年度使用額の使用計画

今年度は検討症例数を増やし、validationを行ったうえで、試作を行い、非臨床試験の実施を早急に行うため、その部分に予算を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 前交通動脈瘤・椎骨動脈瘤のすべて2016

    • 著者名/発表者名
      遠藤英徳
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      メディカ出版

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公開日: 2017-01-06  

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