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2014 年度 実施状況報告書

TEMPO-RNPによる脳梗塞再開通療法後における再灌流障害と出血性脳梗塞の予防

研究課題

研究課題/領域番号 26861139
研究機関筑波大学

研究代表者

丸島 愛樹  筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード脳虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 出血性脳梗塞 / 再開通療法 / DDS化フリーラジカル消去剤 / TEMPO-RNP / 脳神経・血管内皮保護作用
研究実績の概要

血栓溶解薬(t-PA)や血管内治療による血栓回収療法は、脳梗塞超急性期に対する再開通療法として患者の予後を改善させ得るため、近年目覚ましい進歩を遂げている。一方で、再開通に伴う再灌流障害と出血性脳梗塞は、再開通療法の副作用であり、予後を悪化させる原因であるため、早急な治療法の開発が必要である。本研究では、我々が開発した新規DDS化フリーラジカル消去剤であるTEMPO-RNPの脳梗塞病巣への集積を評価し、脳神経・血管内皮保護効果により、再開通療法の副作用である脳虚血再灌流障害と出血性脳梗塞を抑制できるかどうか、動物モデルを用いて検証する。その目的を達成するために、以下の研究計画を立てた。
1. ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(TEMPO-RNP)の作製:研究協力者と共にTEMPO-RNPを作成し、TEMPO-RNPの安定性を電子スピン共鳴法(EPR)で確認し、平均粒径が40-60nmであることを、光散乱光度計を用いて測定し、確認した。
2. 一過性脳虚血モデルの確立:ラット一過性脳虚血モデルを、先端がシリコンコーティングされた塞栓糸を用いて中大脳動脈を1時間閉塞させることで作製した。
3. グルコース負荷一過性脳虚血モデルの確立:ラット一過性脳虚血モデルに対し、グルコース(50%グルコース 5ml/kg)を腹腔内投与することで、再灌流障害と出血性脳梗塞が起こりやすくなることを確認し、モデルとして確立した。
4. ローダミン標識RNPの作製と脳梗塞病巣における集積と局在の評価:研究協力者と共にローダミン標識RNPを作製した。グルコース負荷一過性脳虚血モデルにローダミン標識RNPとEvans blueを静脈投与した。再灌流6時間後に断頭し、血液脳関門が破綻してEvans blueが漏出している部位で、RNPが主に血管内皮上に集積、局在していることを、蛍光抗体法により確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度分研究計画は以下の4つであった。
1. ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(TEMPO-RNP)の作製
2. 一過性脳虚血モデルの確立
3. グルコース負荷一過性脳虚血モデルの確立
4. ローダミン標識RNPの作製と脳梗塞病巣における集積と局在の評価:
それぞれの研究を研究実績の概要の如く行うことができており、おおむね順調に進展している。4のローダミン標識RNPの脳梗塞病巣への集積評価では、今後サンプル数を増やして統計学的な解析を加える予定である。

今後の研究の推進方策

以下の、平成27年度以降に予定している研究を計画通り行う予定である
【平成27年の研究計画】TEMPO-RNPの脳神経保護効果に関する研究
一過性脳虚血モデルの虚血時間を45分、60分、90分と延長して、TEMPO-RNPの脳神経保護作用を検証する。生理食塩水またはTEMPO-RNPは虚血時と再灌流時に経静脈的に投与し、再灌流24時間後に断頭して評価する。次に、60分の一過性脳虚血モデルにおいて、生理食塩水もしくはTEMPO-RNPをday1は虚血時、再灌流時、day2, 3は1日2回投与する。1週間後に断頭し、TEMPO-RNPの亜急性期の脳神経保護効果を前述の組織解析方法にて検証する。
【平成28年の研究計画】TEMPO- RNPの脳血管内皮保護効果に関する研究
グルコース負荷一過性脳虚血モデルにrt-PAと、生理食塩水かTEMPO-RNPを投与し、RNPによる出血性脳梗塞の抑制効果を検証する。24時間後に断頭し、両グループの脳梗塞、出血性梗塞の体積を算出して比較する。組織学的には出血部位における血管壁とそれ支持する血管内皮細胞、周皮細胞、アストロサイト、ミクログリアの分布と、それらから発現するVEGF, TNFα, IL1, IL6の発現を評価し、TEMPO-RNPの脳神経・血管内皮細胞に対する保護効果を検証する。

次年度使用額が生じた理由

研究は順調に進捗した。必要物品(手術器具、塞栓糸など)の中で既存のものを使用することができたものがあり、また他の研究費にて購入できたものがあった。また、ローダミン標識RNPによるRNPの脳虚血巣における集積評価は、次年度に個体数を増やして統計学的解析することとなったため、当該助成金(次年度使用額)が生じた。

次年度使用額の使用計画

ローダミン標識RNPによるRNPの脳虚血巣における集積評価を、個体数を増やして行う予定である。
また、平成26年度動物モデルに作成した既存の物品(手術器具、塞栓糸)などは、老朽化のために平成27年度に新たに購入する必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Myoblast-mediated gene therapy improves functional collateralization in chronic cerebral hypoperfusion.2015

    • 著者名/発表者名
      Hecht N1, Marushima A1, Nieminen M1, Kremenetskaia I1, von Degenfeld G1, Woitzik J1, Vajkoczy P2.
    • 雑誌名

      Stroke

      巻: 46 ページ: 203-2011

    • DOI

      10.1161/STROKEAHA.114.006712. Epub 2014 Nov 11.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cerebro-Cardiovascular Risk Factors are Equivalent for Retinal Ischemia and Cerebral Ischemia Patients with Carotid Artery Stenosis2014

    • 著者名/発表者名
      Aiki Marushima, Yasunobu Nakai, Go Ikeda, Wataro Tsuruta, Hideo Tsurushima, Kensuke Suzuki and Akira Matsumura
    • 雑誌名

      Journal of Neurological Disorders & Stroke

      巻: 2(2) 1045 ページ: 1/5-5/5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 救急医療分野における抗酸化ストレス治療の可能性2015

    • 著者名/発表者名
      丸島 愛樹
    • 学会等名
      バイオマテリアルズ ミニシンポジウム
    • 発表場所
      筑波大学総合研究棟B512号室
    • 年月日
      2015-03-13 – 2015-03-13
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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