研究課題/領域番号 |
26861141
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小倉 良介 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70626423)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | MGMT / ボリノスタット / 核外移行 / テモゾロミド |
研究実績の概要 |
当該年度は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるボリノスタットを用いて、悪性神経膠腫のテモゾロミド耐性に関わるMGMT発現抑制効果について検討した。MGMTが高発現している悪性神経膠腫細胞株T98Gを用いて、ボリノスタットによる治療実験を行った。これまでに報告されているように濃度および時間依存性の細胞増殖抑制効果が認められた。 当初ボリノスタットによりMGMT発現が抑制されると考えていたが、逆にMGMT発現が増加することがわかった。治療前後のタンパク(全分画)を回収し、Western blot法により増加を確認した。 免疫染色によりMGMTの局在を確認すると、治療前のコントロール群では核内に強く発現が認められた。一方で、ボリノスタット治療群は、MGMTの発現が核内ではなく核外に強く発現していた。この結果から、ボリノスタット治療により、MGMTの発現が核内から核外へ移行した可能性が示唆された。 DNA修復酵素であるMGMTは、核内になければ十分に機能を発揮できない可能性があり、ボリノスタットによるMGMTの核内から核外へ移行する効果は、新たな治療戦略のひとつとなりうると考えられた。今年度は、さらに検証実験をすすめ、テモゾロミドとの併用実験をすすめる予定である。検証実験では、MGMTの非発現株であるU251、T98Gに対してsiRNAを用いてMGMT発現を抑制した状態でのボリノスタットの影響についても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初、ボリノスタットによりMGMT発現が低下すると考えていたが、逆に増加していたため。検証実験に時間を要したため、予定よりも遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
MGMTの発現を細胞質、核分画に分けて抽出し、Western blot法により発現を確認する。 その後は、TMZとの併用実験を行い、細胞周期に対する影響、細胞増殖抑制効果について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
MGMTのタンパク発現について、ウェスタンブロット法および傾向免疫染色での検討を中心に行う必要があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度の結果を踏まえて、次年度はsiRNAによるMGMTの発現抑制、RT-PCRによるMGMTのmRNAの発現、MGMTのpromoter領域のメチル化への影響について検証をすすめる。
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