研究課題
オキシトシンが、虚血性疾患に対する保護作用をもつことが報告されている。しかしながら、その詳細な作用メカニズムについては明らかになっていない。本研究では、脳梗塞の病態進行に及ぼすオキシトシンの効果を検討するために、脳梗塞モデルラットを用いて脳梗塞後におけるオキシトシン受容体の発現変化を解析した。脳梗塞モデルはラットの中大脳動脈を一過性に閉塞し、作成した。術後2-15日目のラットから脳を摘出し、梗塞巣、その周辺領域、正常領域において解析した。その結果、施術後2日目の梗塞巣の周辺領域においてオキシトシン受容体の発現が高度に認められ、その発現はその後経時的に減少した。一方、梗塞巣および正常領域においてはオキシトシン受容体発現について有意な変化は認められなかった。この結果から、脳梗塞後のオキシトシン受容体の発現には経時的・空間的変化があることが明らかになった。そこで、さらに、この梗塞巣周辺領域において、オキシトシン受容体を発現している細胞種の特定を試みた。この細胞種をオキシトシンのターゲット細胞として、現在はオキシトシンの効果を分子細胞レベルで検討している。これまでの実験的検討から、オキシトシン受容体は脳梗塞後特定の期間に梗塞巣周辺領域で発現が亢進することが明らかになった。今後は、これらの結果をエビデンスとして、オキシトシンを脳梗塞の治療に結びつける予定である。
3: やや遅れている
研究機関を異動したことにより、研究環境の確立に時間がかかってしまった。次年度は、当初の計画以上に推進する。
今年度は当初の計画で予定していたin vivo実験の確立に時間を要した。しかしながら、脳梗塞後のオキシトシン受容体の発現分布、オキシトシンのターゲット細胞を明らかにすることができた。従って、次年度は、今年度得られたデータを足がかりに脳梗塞の治療薬としてのオキシトシンの効果をin vitro、in vivoの両面から解析する。
研究機関を異動したことにより、研究環境の確立に時間がかかってしまった。そのため、使用を計画していた実験を遂行するまでに至らなかった。
研究費は細胞培養関連試薬一式、実験動物、生化学研究用試薬、各種抗体購入費および成果発表費用(国内・国外学会参加、外国語論文校正費用、論文印刷費等)、共同機器使用料として使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件)
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