研究目的:日本国内でてんかん焦点局在診断のため臨床機として用いられている脳磁計は、Elekta-Neuromag社(E社)製と横河電機社(Y社)製の2種類である。両社とも独自のファイル形式を採用しているためデータの互換性がない。プログラミング技術を用いて他社の脳磁図データの読み込みおよび解析を可能とさせ、解析結果が臨床像と合致するかを検証、最終的に脳磁図メーカー各社の脳磁図データの統一化を行うことが目的である。 研究方法:Y社脳磁図データのE社脳磁図付属ソフトによる可読化を行い、E社ソフトを用いた解析が実行可能かどうかを検討する。さらに、E社脳磁図データが行列演算ソフトウェアMATLAB上においてY社解析ツールを用いて評価できるかどうか検討する。 研究成果:Y社製脳磁計で計測された体性感覚誘発磁場の脳磁図データと重畳するMRIデータを用い、まずY社のYokogawa MEG Reader ToolboxでMATLAB上に展開、Y社のセンサ配列のまま、E社のファイル形式に変換した。このデータがE社の信号解析アプリケーションGraph、電流源推定アプリケーションSource Modelling、画像アプリケーションMRI LABで展開できる事を確認した。Y社の体性感覚誘発磁場とてんかん棘波でY社のアプリケーションを用いて単一ダイポール推定した部位とE社のファイル形式に変換後にE社のアプリケーションで同じく単一ダイポール推定した部位とで約3mm程度の誤差があることを確認した。これらの結果は、日本生体磁気学会、日本脳神経外科学会、日本脳電磁図トポグラフィ研究会、日本臨床神経生理学会で発表した。現在非公開のY社のファイル形式が公開されれば、逆にE社脳磁図データをY社のファイル形式に変換できるよう研究を進めたい。
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