研究課題
GBMは、最も悪性度が高く、標準的治療を行っても平均生存期間約14ヶ月と予後不良である。近年、腫瘍周辺の微小環境に働きかける治療法が注目され、、腫瘍免疫を賦活化させることで抗腫瘍効果や再発抑制を発揮することが期待されている。血清糖タンパクは炎症によって誘導される酵素によりGc-MAFに変化し、マイクロファージは強力に活性化され腫瘍細胞の貪食が起こる。またGc-MAFは免疫賦活化作用により抗腫瘍効果、栄養血管新生を抑制する。Gc-MAFはヒト血清から製造可能であり実際にヒトに投与され、HIVや乳ガン、大腸がん、前立腺がんに対する抗腫瘍効果が報告されている。一方、 GBMに対するGc-MAFを用いたマイクロファージ活性化療法については、国内・国外共にほとんど検討されておらず、Gc-MAFのGBMに対する抗腫瘍効果やその分子機構について解明することが期待されている。マイクロファージは、2種類のタイプに分けられる。M1マイクロファージは炎症促進効果を有するマイクロファージである。これに対しM2マイクロファージはIL-10やTGF-βなどを産生し、免疫抑制作用をもったマイクロファージである。GBMのマイクロファージはM2マイクロファージが優位であることが知られており、このM2マイクロファージにより、免疫が抑制され、腫瘍増殖や血管新生促進因子を発現することで、GBM細胞が排除されることなく増殖し続けると考えられている。ヌードマウスの担癌モデルに対し、連日投与14日後の腫瘍重量を比較すると、Gc-MAF投与群で有意に腫瘍が縮小することを見出した。14日以後にGc-MAFを投与しても縮小効果、殺細胞作用は認められなかった。免疫系の抑制された状態でも、GBM細胞増殖を抑制することを見出した。Gc-MAFの抗腫瘍効果は免疫賦活による細胞増殖抑制作用に加えて、mass reduction 後の再発抑制に有効性の分子機構を解明することは新たな治療法選択肢としての可能性が大いに期待される。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
Cancer Lett
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