平成27年度はSpirulina CPSの抗腫瘍効果について、TLR 4以降のシグナル伝達系の経路の解析を行った。Chinese hamster ovary cellsを用いた実験系でフローサイトメトリーを用いてNFκB誘導能をE. coli LPSと比較した。Spirulina CPSとE. coli LPSはともにNFκB誘導能を有しており、Polymixin Bで阻害された。よって、Spirulina CPSとE. coli LPSの作用部位が類似しておりともにNFκB誘導を介した作用機序であることが示唆された。 Spirulina CPS投与後のマウスのサイトカイン解析も引き続き行った。以前からも報告しているようにIL-17を低下させる作用のほかにも、腫瘍の維持や増大に必要とされる、TGF-β,IL-6,IL-23を制御する効果を有することが示唆された(未発表データ)。一方、E. coli LPSではこれらのサイトカインが上昇しており、これが腫瘍に対する効果の違いを生じている可能性があると考えられた。 近年の悪性グリオーマの解析で腫瘍細胞が血管内皮細胞を起源としている可能性が示唆されている。そこで、実験で用いたマウスグリオーマ細胞の解析を行ったところ腫瘍細胞では血管内皮細胞のマーカーであるCD31が陽性であり、腫瘍細胞が血管内皮細胞を起源としている可能性が示唆された。
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