研究課題/領域番号 |
26861164
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三輪 点 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20365282)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | EFTUD1 / glioma cell line / Western blot |
研究実績の概要 |
今年度は新規腫瘍抗原EFTUD1の発現解析を行った。これまでの研究の中で自ら作成済みであるEFTUD1の抗体を使用し、各種神経膠腫細胞株・神経膠腫患者組織・脳腫瘍幹細胞株・他の癌腫細胞株におけるEFTUD1の発現解析をWestern blotによって行った。2つのglioma cell lineからcDNA libraryを作製し、10人のグリオーマ患者血清中のIgGと反応させた。反応した抗原のうちグリオーマ患者にだけ特異的に発現している抗原遺伝子としてEFTUD1が得られた。またSYBR greenを用いたquantitative PCRでも発現解析を行うことで定量的な評価も行った。その結果定量PCR・Western blotではglioma cell line及びhuman glioma tissueにおいてEFTUD1の発現がみられる一方で、normal brain tissueでは発現は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
はじめの研究計画内容から、現在までの達成度は予定全体の4割程度と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
siRNAによるEFTUD1阻害下における細胞周期をFACSで解析する。同じくEFTUD1阻害下において細胞周期関連蛋白であるp53-p21や、mTOR系シグナルに関してはAKT/p-AKT/mTORの発現をWestern blotで評価する。アポトーシス誘導能に関してはCaspase 3/7 activityを測定することで評価する。EFTUD1阻害下でのAutophagy誘導の有無の証明にはAutophagy marker(LC3/p62)の発現をWestern blotで調べることで評価する。EFTUD1阻害下での神経膠腫細胞株に対してさらにAutophagy阻害剤投与し細胞株の増殖能を評価する。EFTUD1阻害による増殖抑制効果がAutophagy阻害剤により増幅された場合は神経膠腫が誘導するAutophagyはcytoprotectiveであることを示唆し、EFTUD1阻害+Autophagy阻害が有効な治療戦略として挙げられる。またこの両阻害下での細胞周期解析やアポトーシス誘導能を調べ、抗腫瘍効果の増幅変化を評価する。続いて担癌(神経膠腫)マウスモデルにおいてRNAiを用いたEFTUD1阻害による治療を試みる。RNAiを用いてEFTUD1がknock downされた神経膠腫細胞株を調整し、この細胞株をStereotacticに免疫不全マウス脳に移植する。一定期間後に担癌マウスから脳を摘出し凍結切片を作成する。この検体を用いた免疫組織学的解析によりEFTUD1の発現、脳腫瘍増殖能・浸潤能への影響、正常脳組織への障害性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が予定通り進まなかった部分があり、その間の物品費が余ったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の遅れた部分の物品費に、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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