研究課題
本研究では、悪性脳腫瘍における術中蛍光診断で既に臨床応用されている光感受性物質である5-aminolevulinic acid(以下5-ALA)と放射線照射併用による腫瘍細胞傷害機序の解析、特に免疫細胞であるマクロファージやミクログリアの関与を解明し、新規治療へと展開するための研究基盤を確立することを目的とする。最初にマウスを使用した脳腫瘍モデルを作製し、5-ALA併用放射線照射の評価を行った。C3H/HeNマウスにマウスグリオーマ細胞株(RSV-M)を使用し皮下腫瘍モデルを作成した。皮下腫瘍の定着を認めたのち、PBS溶液で溶解した5-ALA(100mg/kg)をマウスに経口投与し、数時間後に放射線照射(全身照射1Gy)を行った。これらの治療を5日間連続して施行した。無治療のコントロール群、5-ALA投与群、放射線照射群、5-ALA+放射線照射群の4群に分類し経時的に腫瘍サイズの評価を行った。腫瘍サイズの長径と短径から推定腫瘍体積を算出し腫瘍の増殖経過を評価した。またマウスの運動量や体重測定にて放射線照射による有害事象の有無を評価した。放射線照射群で腫瘍増殖が抑制され、さらに5-ALAを加えた5-ALA+放射線照射群で腫瘍増殖抑制が著明であった。経過中に明らかな体重減少があるマウスは放射線照射による有害事象と判断し、研究対象からは除外することとした。脳腫瘍皮下腫瘍モデルによるin vivo実験にて5-ALAを投与することによる腫瘍増殖抑制傾向のあることを確認できた。
3: やや遅れている
脳腫瘍皮下腫瘍モデルで5-ALA併用放射線照射療法による腫瘍増殖抑制傾向を認めたが、有意な差は認めておらず、5-ALA投与量、投与方法の変更や放射線照射量や照射回数の変更などでさらなる検討が必要である。
次年度は5-ALA併用放射線照射療法の免疫応答の作用機序を解明するために、免疫担当細胞を用いた解析を重点的に行う予定である。免疫担当細胞として腹腔マクロファージやミクログリアを使用したin vitro実験を考えている。
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