研究実績の概要 |
本研究では、悪性脳腫瘍における術中蛍光診断で既に臨床応用されている光感受性物質である5-aminolevulinic acid(以下5-ALA)と放射線照射併用による腫瘍細胞傷害機序の解析、特に免疫細胞であるマクロファージやミクログリアの関与を解明し、新規治療へと展開するための研究基盤を確立することを目的とする。 C3H/HeNマウスにマウスグリオーマ細胞株(RSV-M)を使用した皮下腫瘍モデルに5-ALAの投与(100mg/kg)、放射線照射(全身照射1Gy)を行ない腫瘍の増殖抑制効果を認めたため、免疫応答の作用機序を解明するために、免疫担当細胞であるマウス腹腔マクロファージを使用したin vitro実験を施行した。 チオグリコレートで誘導したC3H/HeNマウスの腹腔マクロファージを培養し、5-ALA(0.1mM~1mM)で処置し、数時間培養後(12h~18h)にマクロファージから産生されるTNF, IL-6, IL-10, IL-12, TGF-beta, prostaglandinE2の産生量を測定した。マクロファージを活性化させるため、LPSでの刺激を行った。 5-ALAにより、抗腫瘍性サイトカインであるTNFの産生が増強し、さらに免疫抑制因子であるprostaglandinE2は抑制される結果であった。 この結果は5-ALAがマクロファージに対して腫瘍増殖抑制効果をもたらす一つの機序であると考えられる。
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