研究課題
滑膜間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)は高い軟骨分化能により軟骨再生の有用な細胞減として期待されている。限られた細胞数で効率よく移植するためには、三次元培養した集合体を用いることが有用となりうる。今回マイクロミニピッグを用いて、自家滑膜幹細胞集合体移植による効果を検討した。動物実験委員会の承認後、マイクロミニピッグの両膝の滑膜を採取し、酵素処理後に得られた有核細胞を培養した。25万個の滑膜幹細胞を35μlの培養液に懸濁し、hanging drop法で3日間培養士集合体を作製した。両膝の膝蓋大腿関節の大腿骨側と大腿骨内顆に直径6㎜・深さ1.5㎜の骨軟骨欠損を作製した。片側の膝にそれぞれ16個の自家滑膜幹細胞集合体を移植した。対側の膝は細胞移植をしない対照群とした。移植後4・12週で再生関節軟骨組織を肉眼(ICRS score)、組織(Modified Wakitani score)、MRI(T1rho mapping)で評価した。さらに移植細胞の胴体を超常磁性酸化鉄粒子でラベルした滑膜幹細胞を使用してMRIで評価した。集合体は直径1㎜程度で、鑷子で容易に骨軟骨欠損部に移植可能であった。移植後12週の大腿骨内顆において、肉眼、組織スコアともに移植群(肉眼スコア6.7±1.6、組織スコア9.8±2.5)が、対照群(それぞれ5.3±1.7、8.0±3.1)よりも良好な軟骨再生が得られた(p<0.05、n=6)。またT1rho mappingでは、移植群(71.6±5.5ms)が、対照群(85.5±11.3ms)よりも正常軟骨の値に近かった。またMRIを用いて術後1週後に移植細胞が骨軟骨欠損部に残存することを確認した。滑膜幹細胞集合体は、移植操作が容易で効率的に軟骨欠損部に接着させることが可能であり、対照群より良好な軟骨再生が得られることを確認できた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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