研究課題/領域番号 |
26861176
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松原 秀憲 金沢大学, 医学系, 助教 (10507057)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 骨修復能 / 糖化ストレス / メチルグリオキサール |
研究実績の概要 |
<具体的内容> In vivo: 少量ストレプトゾトシン(STZ)5日間連投による糖尿病マウス(n=25)を作成した 。糖尿病状態を評価し、3週後に左大腿骨遠位部に0.9mmドリルを用いて骨欠損を作成した。その後、 0,3,7,10,14日目にCT撮影を行い、骨欠損部の修復過程を非糖尿病対照マウス(n=25)と比較検討した。また、大腿骨にふくまれるAGEs量、血中AGEs量を測定し比較検討した。In vitro: 骨分化誘導を行ったマウス間葉系間質細胞(ST2細胞)の培地中に Methylglyoxal(MG: 0~400μM)を添加し、細胞増殖、LDHアッセイと骨分化効果判定を行った。骨分化効果判定は 7日目にALP染色、28日目にAlizarin Red染色で行った。 <意義>糖尿病マウスでは、血中AGEs値で特にMG由来 のMG-H1 (MG-hydro imidazolone) が上昇しており、骨欠損部での骨形成は 有意に遅延していた。細胞培養系で検証すると、培養ST2細胞の増殖や骨細胞分化はMG濃度依存的に低下し、特に200μM以上で有意に抑制された。また培地中のLDH濃度も有意に上昇していた。これらの結果より、糖尿病ではMGの直接作用により骨芽細胞の分化・増殖が抑制され骨形成が遅れるものと推察できた。従って、今後はMG解毒酵素の活性化やMG消去薬の投与などにより骨修復能の改善が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は骨折モデルで実験を進めていたが、糖尿病マウスでは骨脆弱性を認め、粉砕することがあるなど骨折の再現性がひくかったために、途中から骨欠損モデルに移行した。
|
今後の研究の推進方策 |
骨欠損モデルでは安定した再現性が得られており、糖尿病マウスでは骨欠損部の修復も遅延するということが分かった。したがって、今後はこの糖尿病骨欠損マウスモデルを用いて、インスリン投与、ピリドキサミン(糖化ストレスを軽減するビタミンB6)投与などにより骨修復能が改善するかどうかを検証し、糖化ストレスの骨欠損修復への関与を解明していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は、骨折モデルを用いて実験を行っていたが、糖尿病マウスでは骨折部が粉砕することが多く再現性を得るのが困難であったため実験の進行がやや遅れたことにより次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在は、骨欠損モデルに変更しており、安定して再現性が得られるようになっている。したがって、次年度は本年度予定していたが施行できなかった実験(糖尿病骨欠損マウスにインスリン投与を行い骨欠損修復能の改善を評価する)と当初から予定していた実験を行う予定である。
|