研究課題/領域番号 |
26861178
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
本定 和也 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (60634839)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクログリア / CCL21 / 脊髄損傷 |
研究実績の概要 |
脊髄に由来する神経障害性疼痛(neuropathic pain)の病態は、複雑かつ難治性であり、日常生活やリハビリテーションに多大な影響を及ぼすと考えられており、そのメカニズムの解明を目的として研究を行っている。脊髄障害性疼痛においてマイクログリアは重要な役割を担っていると報告されており、そのphenotypeも含めて、Cystein-Cystein Chemokine Ligand 21(CCL21)との関与に注目している。CCL21はマイクログリア活性に重要なケモカインとして注目されているが、脊髄損傷後疼痛には血液由来のマクロファージと中枢神経内に元来存在するマイクログリアの2つの細胞が強く関与しているとされている。しかし過去の研究でこの二つを厳密に分けられておらず、CCL21はマイクログリアにのみ関与していると考えられているため、まず本年はその特異的リガンドや受容体を用いて、脊髄損傷後におけるマイクログリアの動態を明らかすることを目的として、研究、発表を行っている。血液由来細胞のみGFP陽性細胞に置き換えたキメラマウスを作成し、マウスの第9胸髄にIH impactorを用いて圧坐損傷加え、損傷後1日4日、1週、2週、4週の時点で脊髄連続切片を作成した。評価部位は、損傷部、近位部、遠位部で行っている。その評価はマイクログリアが活性化する際に、細胞膜表面に移動すると報告のある末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)を用いて免疫組織学的に検討を行い、その特異的リガンドであるPK11195はAutoradiographyの手法を用いて評価し、FACSでの解析も行っている。結果としてはPBR、PK11195はマイクログリアに特異的に反応する事が示唆され、その結果の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脊髄損傷モデル動物における血液由来細胞でなく、脊髄内マイクログリアの動態と活性を脊髄損傷部とその遠隔地という点で、今後の研究の基盤となる結果を得られている。そのため今後はその結果を踏まえてよりマイクログリアと、今回の重要な因子であるCCL21の関連を評価していくが可能となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年の結果と比較する目的で、CCL21欠損動物モデルを用いて免疫組織細胞学的にマイクログリアに特化した、CCL21の遠隔発現やマイクログリアの動態の関連を更に詳細に評価していく。さらにBasso-BeattieBresnahan score score(BBB score)等の行動学的評価を行う事で脊髄損傷後疼痛とCCL21の関連の評価を多角的に行える可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・消耗品が必要な際に使用したい。
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