脊髄損傷後のmicroglia/macrophage phenotype であるM1/M2への分化は組織の炎症から修復に強く関連している事が報告されている。microgliaの活性に重要と報告がされているCCL21に注目し、CCL21欠損マウス(pltマウス)脊髄損傷モデルを用いて、疼痛関連評価と、脊髄損傷後の脊髄内のM1/M2の分化の関連について損傷部、腰膨大部で免疫組織学的に検討を行った。 C57BL/6マウス(wild type)、pltマウスにTh9レベルにIH impactorで60Kdynの圧挫損傷モデルを作成した。損傷後4,14,28日の時点で疼痛関連評価を行い、その時点での損傷部および腰膨大部の脊髄凍結切片を作成しCD11bとM1のマーカーとしてiNOS、M2のマーカーとしてCD206を用いて免疫組織学的検討を行った。 疼痛関連行動学的評価ではpltマウスはwild typeと比較し疼痛閾値の上昇を認めた。経時的な免疫組織化学的評価では損傷部、腰膨大部で14日目をピークにCD11b陽性細胞数の増加し、損傷部では多くがM1優位であったがpltマウスではwild typeと比較し、CD11b細胞数が減少し、M1が減少している結果が得られた。腰膨大部でも14日、28日でM1が減少している結果が得られた。 M1のmicroglia/macrophageは炎症性サイトカインを放出し、組織損傷の波及から脊髄損傷後疼痛の増悪に関与していると考えられている。またCCL21はM1の遊走、microglia活性化によるallodynia誘発に寄与するchemokineとして報告があり、今回使用したCCL21欠損マウスでは損傷部および腰膨大部でのM1の低下による組織障害の低下や、below levelでのmicroglia活性が低下するで疼痛関連閾値の低下が生じている事が示唆された。
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