多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を生体材料に応用する場合には、使用する部位の組織や細胞によって、その生物学的反応が大きく異なる。本研究は、関節内の主たる生物学的反応の場である滑膜のMWCNTsに対する反応を評価した。その結果、MWCNTsに対して滑膜が特異的な生物学的反応を示すこと、MWCNTsを関節内に使用する際には、一定量以下であれば滑膜に対して大きな問題がないことが明らかになった。本研究の結果は、肺や腹腔の反応とは明確に異なるものであり、今後MWCNTsを生体材料として臨床応用するためには、使用する部位に合致した詳細な生物学的反応評価が必要である。
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