淡明細胞肉腫は比較的若年に発症する悪性度の高い軟部腫瘍であり、化学療法や放射線治療に抵抗性の予後不良な疾患である。淡明細胞肉腫の癌化プロセスには、融合遺伝子EWS/ATF1が重要な役割を果たすことが示されてきた。近年、様々ながん種に対してmicroRNA (miR)がその細胞増殖やアポトーシス、浸潤や転移などに関与していることが報告されているが、淡明細胞肉腫とmiRとの関連については不明である。 本研究では未だ有効な補助療法の確立していない、淡明細胞肉腫に対するmiRによる全く新しい治療法を確立することを目的として行った。 EWS/ATF1のbreakpointを含んだ配列を標的としたsiRNAを用いてEWS/ATF1をknockdownさせてmiRの発現プロファイルの変化をmicroarrayで確認したところ、miR-3127-5pが最もupregulateされていた。同様にmRNAの発現プロファイルの変化を確認すると、GATA5の発現が最もdownregulateされていることが判明した。 淡明細胞肉腫cell lineにmiR-3127-5pを導入することや、GATA5の発現を低下させることで、細胞増殖は抑制され、また遊走能も低下することが判明した。これらは淡明細胞肉腫に対する新たな治療法となる可能性がある。
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